1991 Fiscal Year Annual Research Report
脂質分子膜被覆酵素の有機溶媒中での触媒作用とその薄膜化
Project/Area Number |
03453116
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
岡畑 恵雄 東京工業大学, 生命理工学部, 助教授 (80038017)
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Keywords | リパ-ゼ / 脂質修飾酵素 / 不斉選択合成 / エステル化反応 |
Research Abstract |
本研究の目的は、酵素の表面を脂質膜で被覆することにより酵素機能を改変し、有機溶媒中での不斉エステル合成触媒として利用したり、薄膜化酵素を作ることにある。今年度の研究により以下のような成果が得られた。 1)Rizopus de lemar由来のリパ-ゼ水溶液とカチオン性あるいは糖親水基をもつ合成ジアルキル脂質の水分散液を混合し、析出した酵素ー脂質複合体の沈澱を集めて凍結乾燥して白色粉末を得た。カチオン性脂質あるいは合成糖脂質を用いたときに収率良くリパ-ゼー脂質複合体を得ることができた。 2)得られたリパ-ゼー脂質複合体をイソオクタンなどの有機溶媒に均一に溶け、これに種々のカルボン酸と2ーノナノ-ルあるいは1ーフェニルエタノ-ルのラセミ体を加えて室温で2時間反応を行なった。リパ-ゼの立体選択性によりRー体のアルコ-ルだけがエステル化され、未反応のSー体不斉アルコ-ルを蒸留により99%の収率で分離することができた。すなわち、脂質修飾リパ-ゼは有機溶媒中でエステル化触媒として作用し、ラセミアルコ-ルを不斉分割する触媒として極めて有効であることがわかった。 3)酵素の由来や有機溶媒の種類、基質の化学構造を系統的に変化させた結果、リパ-ゼの基質選択性は酵素表面を脂質で修飾しても変化しないことが明らかになった。酵素の由来により基質選択性の違いがあること、脂質修飾リパ-ゼは有機溶媒中でも長時間安定であること、さらには、有機溶媒の極性を変えることにより不斉選択性の制御も可能となることなどが明らかになった。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Y.Okahata: "Adsorption Behaviours of Local Aneshnetics into Synthetic Lipid Membranes coated on a QuartzーCystal Microbalance and Realations with their Anesthetic" J.Chem.Soc.,Perkin Trans.2. 457-479 (1991)
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[Publications] Y.Okahata: "Adsorption Behaviors of surfactant Molecules on a lipidーcoated QuartzーCrystal Microbalance.An Alternative to Eye Irritant Tests" Anal.Chem.63. 203-207 (1991)
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[Publications] K.Ijiro: "Functional Capsule Membranes 32.Lipaseーimmobilized capsule membranes as a reactor in ester synthesis and hydrolyses in organic solvents" J.Membr.Sci.59. 101-112 (1991)
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[Publications] W.Tsuzuki: "Preparation of OrganicーSolventーSoluble Enzyme(Lipase B)and characterization by Gel Permeation Chromatography" J.Chem.Soc.,Perkin Trans.1. 1245-1247 (1991)
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[Publications] 岡畑 恵雄: "人工脂質膜における分子認識" 膜. 16. 26-33 (1991)
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[Publications] 居城 邦治: "脂質修飾リパ-ゼを用いた有機溶媒中でのエステル合成反応" 化学工業. 610-614 (1991)
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[Publications] 岡畑 恵雄(共著): "DDS技術の進歩,刺激応答性カプセル膜を用いた除放性の生御" 日本工業技術振興会, 360 (1991)