1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03453130
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
平林 潔 東京農工大学, 工学部, 教授 (90021146)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒井 三雄 東京農工大学, 工学部, 助手 (00015041)
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Keywords | 絹フイブロイン / バイオ素材 / キヤストフイルム / β化 / 強伸度 / フイブロイン・キトサン混合膜 |
Research Abstract |
絹をバイオ素材,例えば人工皮膚,血管等に用いるには,一旦,水溶性絹とし,これからフイルムや円管を作る。このままでは水に溶けてしまうので不溶化(β化)処理を行う。一般にβ化の第一はアルコ-ル処理である。しかしβ化したキヤストフイルムは著しい強伸度の低下を招く。これでは目的物として使えない。そこで,次にキヤスト膜の延伸を行った。前者より強度の向上は見られたが,その後,平衡状態に達し,強度の向上は見られなかった。そこで本年度は,この原因と対策に重点をおき研究を行った。アルコ-ルに依るβ化はアンテパラレルなβ化ではなく、絹フイルムの収縮応力の発生から考え、クロスβ化である。これだと分子鎖間には結合が出来ず,分子鎖間に結合を生ずる。従って延伸しても結合が網目として働かないため,ブスブス切れ,強伸度が生じない。また,キヤストフイルムの延伸は,フイルム内に形成された結合や分子鎖間のからみ(網目)を無理に切断し配向させるため,分子鎖の切断を起こし,これまた,強伸度の向上には撃がらない。それでは絹織維と同じ位の強伸度(4g/d,20%)に近い絹フイルムを作るにはどうしたらよいか。当面,考えられる妥当な方法は,溶液から分子鎖を切らないように配向フイルム,それと二重配向フイルムを作ることである。しかし,この方法は本研究の埒外である。あくまでもキヤスト法で品質の良いフイルムの作製にある。そこで他の生体適合性に優れた高分子,キトサンとの混合膜を作り検討したところ,強度が大幅に向上した。フイブロインに対し40%キトサンを混合すると,破断強度は80%も増加した。これは絹繊維の半分に相当する値である。また,その時の伸度は40%であった。これなら実用化可能な絹フイルムとなり,その応用が期待される。
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