1993 Fiscal Year Annual Research Report
酸性雨の日本海沿岸における実態と砂丘地の土壌-植物生態系に及ぼす影響
Project/Area Number |
03453132
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Research Institution | TOTTORI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
飯村 康二 鳥取大学, 農学部, 教授 (60212718)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤山 英保 鳥取大学, 農学部, 助教授 (90108796)
山本 定博 鳥取大学, 農学部, 助手 (30200801)
本名 俊正 鳥取大学, 農学部, 助教授 (90093624)
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Keywords | 酸性雨 / SO_2・NO_2沈着量 / 土壌の緩衝能 / 砂丘土壌 / 酸性雨の植物への影響 |
Research Abstract |
酸性雨の実態調査:前年に続き鳥取県全域17地点の降雨のpHと雨水中成分を測定した.雨水のpHの出現頻度は4.5≦pH<5.0が最も高く,冬期の雨水はpH5.0未満が殆どであった.イオン濃度は海に近いほど高い.非海水由来のSO_2およびNO_2沈着量はそれぞれ3g/m^2および1.5g/m^2で、SO_2は冬期に沈着量が増加した. 土壌への酸性雨のインパクト:砂丘土壌との比較のために鳥取県に分布の広い褐色森林土及び赤黄色土をカラムに充填し,年間2,000mm,3年分相当の人工酸性雨(pH5.6,4.0,3.0,2.0)を浸透させて浸出液及び浸透前後の土壌を分析した.低いpHの酸性雨を浸透させた場合,交換性塩基及び一次鉱物から多量のCa,Mg,KおよびNaを溶出して緩衝作用を示した.赤黄色土では一次鉱物からの溶出が多く,砂丘未熟土に近い.一方褐色森林土ではAlの溶出による緩衝作用が大きく,黒ボク土に近い. 表層から10cmずつ下層土を加えた,計50cmまでの黒ボク土のカラムに,人工酸性雨(pH3.0)を浸透させて下層土の影響を検討した結果,このpHでは下層土は表層土の酸性化を打ち消すには到らなかったが,下層への影響は小さいと考えられた.またO層(堆積腐植層)の緩衝能が極めて大きいことが認められた. 植物体へのインパクト:蒸留水と人工酸性雨(pH4,3,2)を鳥取砂丘土壌に栽培したダイズとエンドウの成熟植物と幼植物に一日当たり10mmに相当する量を8日間噴霧し,生育と養分吸収を調査した.その結果,pH2区ではどちらの幼植物も葉に白斑が現われた.低pH下でのエンドウの乾物生産および要素吸収はダイズよりも相対的に劣り,特に幼植物で顕著であることがわかった.ダイズの場合は2区は蒸留水よりもむしろ良好な生育と吸収をもたらした.
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Research Products
(2 results)