1992 Fiscal Year Annual Research Report
糸状菌遺伝子の発現制御に関する分子生物学的解析とその応用
Project/Area Number |
03453138
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Research Institution | NAGOYA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
塚越 規弘 名古屋大学, 農学部, 教授 (50115599)
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Keywords | タカアミラーゼA遺伝子 / トランスファクター / AnCP1 / AnNP1 / CCAAT-box |
Research Abstract |
麹菌(Aspergillus oryzae)が誘導的に合成、分泌するα-アミラーゼの一種であるタカアミラーゼA(Taa)の遺伝子発現制御機構の解析を分子生物学的に行い、平成3年度の研究成果をふまえて本年度は次の事を明らかにした。 Aspergillus nidulansを宿主にした各種改変Taa遺伝子の発現解析結果より、Taa遺伝子の転写開始点から上流325bpDNA断片上にTaa遺伝子の発現を制御する活性の存在する事が明らかになった。また、この325bpDNA断片には高等真核生物の遺伝子の発現を調節すると考えられている特徴的な塩基配列(シスエレメント)、CCAAT配列やGC配列が存在し、Taa遺伝子の誘導発現に関係していると示唆された。 これらシスエレメントに特異的に結合し、遺伝子発現を調節する核タンパク質(トランス-ファクター)の解析を主に本年度は行った。上記325bp断片及びCCAAT配列のみを含む133bp断片をプローブに用いてゲルシフト法により、トランス-ファクター様核タンパク質が存在する事を明らかにした。また、同時に結合配列の特異性を合成オリゴヌクレオチドを使用して解析し、二種類のトランス-ファクター、AnCP1(Aspergillus nidulans CCAAT element binding protein 1)及びAnNP1(Aspergillus nidulans nuclear protein 1)が存在する事を示した。次に、これらのファクターがどのようにTaa遺伝子の誘導発現に関与しているかを解析した。AnNP1はグルコースをC源にした非誘導条件でのみ核中に認められるが、AnCP1は非誘導条件でも、可溶性デンプンをC源とした誘導条件でも核中に存在する。AnNP1は一種のリプレッサーであり、非誘導状態ではAnCP1の転写活性化を阻害する。一方誘導条件下ではAnNP1は合成されず、AnCP1が転写を活性化してタカアミラーゼAが合成、分泌されると結論した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] O.Nagata 等: "Aspergillus nidulans nuclear proteins bind to a CCAAT element and the adjacent upstream seguence in the promoter region of the stanch-inducible Taka-amylase A gene" Molecular and General Genefics. (1993)
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[Publications] S.Ebisu 等: "Production of a fungal protein,Taka-amylase A,by protein-producing Bacillus brevis HPD 31" Journal of Industrial Microbiology. (1993)