1991 Fiscal Year Annual Research Report
免疫組織・細胞化学的手法によるジベレリンの動態の追究
Project/Area Number |
03453142
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
室伏 旭 東京大学, 農学部, 教授 (00011916)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西沢 直子 東京大学, 農学部, 助手 (70156066)
山口 五十麿 東京大学, 農学部, 助教授 (00012013)
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Keywords | ジベレリン / 免疫組織化学 / 免疫細胞化学 / イネ(花粉) / 花粉(イネ) |
Research Abstract |
試料として、先ず、ジベレリン含量の高いインゲン未熟種子を用い、液体ヘリウムで急速凍結した後、オスミウムを含むアセトンで脱水・置換・固定を行い、エポン/アラルダイトを用いて樹脂包埋した。これより極薄切片を調製し、透過型電子顕微鏡で観察したところ、オルガネラは一部を除いて比較的よく固定されていた。しかしながら、切片を抗ジベレリンA_4抗体で処理し、金コロイド標識二次抗体で染色し観察したがよい結果は得られなかった。これは、アセトンによる脱水・置換の過程でジベレリンが溶脱されたためと考えられる。そこで、試料体積が小さく、ジベレリン含量の高いイネの葯と花粉を用いて、ジベレリンの溶脱を伴わない脱水・置換・固定・条件を検討することにした。イネ(秀鵬)の葯を液体ヘリウムで急速凍結した後、オスミウムを含むアセトンあるいはオスミウムと5〜10%のテトラヒドロフランを含む二塩化メチレンで脱水・置換・固定を行い、極薄切片を調製し、透過型電子顕微鏡で観察した。オスミウム/アセトンを用いた試料では、よく固定され、オルガネラを観察することが出来、花粉中には、予想以上に多量の澱粉粒が観察された。オスミウム/アセトンによる固定では、ジベレリンは溶脱されていると考えられるが、固定の状態がよいことから、この試料はビオチン標識したジベレリン等を用いて、ジベレリン結合タンパク質や生合成・代謝に関する酵素の組織・細胞化学的研究には有用な試料となるものと期待されるので、今後、この方面での研究に用いる予定である。 一方、オスミウム/テトラヒドロフラン/二塩化メチレンを用いた場合の試料では、脱水が不十分と思われ、固定が十分でなかった。今後、急速凍結ー凍結乾燥を行った後、気体オスミウムで固定を行う方法を含めて、あらためてジベレリンの効果的固定方法を検討する。
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