1991 Fiscal Year Annual Research Report
トリプトファン誘導体のインド-ル環4位への閉環酵素の特性と応用
Project/Area Number |
03453143
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小清水 弘一 京都大学, 農学部, 教授 (90026518)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
入江 一浩 京都大学, 農学部, 助手 (00168535)
|
Keywords | インドラクタム / テレオシジン / 発癌プロモ-タ- / 生合成 / 微生物転換 |
Research Abstract |
インド-ル環の3位から4位に閉環したタイプの天然物には、LSDなどユニ-クな薬理活性を有するものが多く、有機合成の一つの標的となっている。しかしながらインド-ル環4位における配向性および反応性の制御が困難であるため、多くの合成段階を必要としている。放線菌の産生する発癌プロモ-タ-・テレオシジン類の母核化合物インドラクタムV(ILV)は、ValーTrpがインド-ル環4位に閉環したタイプのシンプルな化合物であり、4位への閉環機構を研究するうえで格好のモデルとなりうる。本研究者らは最近、ILVの4位セコ体NーMeーLーValーLーTrpーolが放線菌への投与により、高率で4位に閉環することを見い出した。本研究は、この閉環反応を解媒する酵素系を新規インドラクタム類縁体の合成に応用するとともに、本酵素系のインド-ル環4位における反応性および配向性の制御機構に関する知見を得ることを目的とした。 NーMeーLーValーLーTrpーolが放線菌Streptoverticillium blastmyceticum NA34ー17株への投与により効率よく閉環した条件に基づき、本セコ体のバリン部分をLーThr(OMe)、βーcyanoーAla、Ala、abu、γ,dー△ーNa、propargylーGly、Nva、Nle、tertーLen、γーmethallyーGly、Len、alloーIle、2ーthienylーGly、Phg、Pheに変換した前駆体15種を本放線菌に代謝させた。その結果、親水性のLーThr(OMe)、βーcyanoーAla、および立体的に嵩高いLーPhe誘導体を除いてすべて閉環し、12球のインドラクタム類縁体を10%前後の収率で得ることができた。さらにNーmethyl基をNーethyl基に改変したNーEtーLーNvaーLーTrpーol、インド-ル環の6位に各種置換基を有する前駆体も閉環した。 これらの各種インドラクタム類縁体はいずれもILVの構造修飾では得られないものであることより、これらの発癌プロモ-ション活性を各種in vitro試経にて測定した。その結果、ILVの12位側鎖および6位置換基の疎水性が活性を支配していること、13位における立体要求性が高いことなどが明らかになった。
|
-
[Publications] Shinーichiro Kajiyama: "Synthesis of new indolactam analogues by microbial conversion." Tetrahedron. 47. 5453-5462 (1991)
-
[Publications] Kazuhiro Irie: "Quantitative stuctureーactivity Studies on indole alkaloid tumor promoter indolactam congeners." Carcinogenesis. 12. 1883-1886 (1991)
-
[Publications] 入江 一浩: "発癌プロモ-タ-の作用機作解明への有機化学的アプロ-チ" 有機合成化学協会誌. 49. 1070-1079 (1991)