1992 Fiscal Year Annual Research Report
アグロバクテリウム属細菌による植物形質転換機構の有機化学的解明
Project/Area Number |
03453145
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
河津 一儀 岡山大学, 農学部, 教授 (30026520)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神崎 浩 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助手 (60183787)
小林 昭雄 岡山大学, 農学部, 教授 (30115844)
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Keywords | 植物形質転換制御物質 / Agrobacterium tumefaciens / GUS遺伝子 / タバコ培養細胞BY-2 / ポテトディスク法 / β-グルクロニダーゼ / Julimycin B-II / Oxazolomycin |
Research Abstract |
Agrobacterium tumefaciensによる植物形質転換の複雑な機構を解明するために有用な形質転換制御物質を求める新しい生物試験法を開発した。従来,ポテトディスク法により形質転換阻害物質が見いだされてきたが,この方法は結果を得るまでに2週間を必要とする欠点があった。そこで形質転換の確認を遺伝子工学的に導入したマーカー遺伝子の発現で行う方法を考案した。マーカー遺伝子としは活性が安定で,植物にその遺伝子が存在せず,研究例も多い大腸菌由来のGUS(β-グルクロニダーゼ)を選択した。まずタバコ培養細胞BY-2・タバコ葉・ジャガイモ葉・ジャガイモ塊茎の4種の植物体の菌を接種しGUS活性を経時的に測定したところ,タバコ培養細胞BY-2・タバコ葉においてのみ安定なGUS活性の発現が菌接種48時間後に確認された。次にこの2種の植物を用いて,我々がポテトディスク法によりクラウンゴール形成阻害物質として見いだしていたJulimycin B-IIの阻害効果を検討したところ,その48時間後のED_<50>はそれぞれ1.5,25μgであり培養細胞BY-2の方がタバコ葉より10倍以上感度が優れていることが判明し,供試植物としてBY-2を用いることにした。BY-2の生育時期と活性発現について検討したところ対数増殖期から静止期にかけてほぼ一定の比活性が測定された。細胞の扱い易さなどの点を考慮し培養開始6日目ごろの対数増殖期の細胞を用いることにした。このようにして確立した生物試験に我々の研究室でクラウンゴール形成阻害物質として見いだしていたOxazolomycin,植物毒性物質Cycloheximide,抗菌物質Claforanを供したところ,本方法でも活性が確認された。また本方法ではBY-2の新鮮重増加を測定することにより植物毒性の確認ができ,Cycloheximideは植物毒性物質として他の化合物と区別することができた。従って,本試験法により特異的な形質転換阻害物質の探索が可能となった。
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