1991 Fiscal Year Annual Research Report
アスコルビン酸を機能分子とする核医学診断薬剤の開発
Project/Area Number |
03453150
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
前田 稔 九州大学, 薬学部, 教授 (70101178)
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Keywords | Lーアスコルビン酸 / フルオロアスコルビン酸 / フッ素18 / 生体内分布 / 腫瘍 / 核医学診断薬剤 |
Research Abstract |
Lーアスコルビン酸はプロリンの水酸化,カルニチンやカテコ-ルアミン類の生合成,過酸化脂質障害からの生体防護等,細胞内の多くの生化学反応に関わり,特に抗酸化物として重要な役割を担っている水溶性ビタミンである。本研究ではポジトロン放出核種で標識したアスコルビン酸を創薬し,酸素障害関連疾患の病態解析のためのPET用核医学診断薬剤として開発展開させることを目的としている。Lーアスコルビン酸のCー6位にフっ素18を導入したフルオロアスコルビン酸を合成し,ラットおよびマウス体内分布を検討した。標識合成は2ーケトーLーグロン酸の4,6ー環状硫酸エステルを基質として選択した。フッ素18アニオンとの求核的開環置換反応によってフルオロアルコ-ル官能基を,引き続き酸加水分解ー異性化反応によってエンジオ-ル骨格をそれぞれ構築して,6ーデオキシ6ー〔 ^<18>F〕フルオローLーアスコルビン酸( ^<18>FDA)を放射化学的収率10〜15%で得ることができた。このフルオロアスコルビン酸の遷元活性能力は,アスコルビン酸自身に比べて幾分低下した。 ^<18>FDA投与2時間後までの動物生体内分布の検討から次の事が明らかとなった。 ^<18>FDAは血中から速やかに消失し組織に吸収される。特に,副腎,肝臓,小腸に高い放射能の集積が認められた。脳組織への移行は遅いが,時間とともに除々に増加すること,心臓においては放射能のリテンション傾向を示した。このような集積パタ-ンおよび経時的変化は,アスコルビン酸自身のそれと類似したものであった。さらに,血漿中では大部分が蛋白とは結合していない遊離の形で ^<18>FDAが存在することが明らかにされた。また,ファイブロサルコ-アやCー6グリオ-マなどの腫瘍組織に ^<18>FDAが移行し,保持されることを見い出した。
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Research Products
(1 results)