1991 Fiscal Year Annual Research Report
チタンと陶材との焼付け強度に及ぼす焼成時界面反応の究明
Project/Area Number |
03453151
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
塩川 延洋 新潟大学, 歯学部, 教授 (90018408)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大川 成剛 新潟大学, 歯学部, 助手 (80143791)
渡辺 孝一 新潟大学, 歯学部, 助手 (20018766)
宮川 修 新潟大学, 歯学部, 助教授 (40018429)
|
Keywords | 純チタン / 陶材焼付け / 界面反応 / 赤外分光分析 / X線回折 |
Research Abstract |
チタンおよびチタン合金は軽くて,耐食性が良く生体との親和性も優れている.このように優れた金属を歯科医療に広く利用するために,ポ-セレン焼き付け技術の確立が不可欠である.そのためには,陶材を焼き付けている高温時に,チタンと陶材の界面においてどのような反応が生じているのかを解明する必要がある.そこで,今年度は鏡面研磨した純チタンと陶材との界面を,X線マイクロアナライザ-,フ-リエ変換赤外分光光度計(本年度購入)および,X線回折装置により分析した.それにより得られた主な知見は以下のようにまとめられる.1.X線マイクロアナライザ-の分析の結果,機械的に剥離した陶材側界面にもかなりのチタンが検出され,しかもその分布が結晶組織と対応していた.2.赤外分光分析の結果,剥離果面の黒色を呈している部分から,500および1100カイザ-の新しい吸収が認められ,逆に陶材本来の600および1300カイザ-の吸収がほとんど認められなかった.これはチタンが陶材と高温反応した結果,Siとの金属間化合物(シリサイド)を形成したか,チタンの非化学量論的酸化物の生成が考えられる.3.X線回折による結晶学的検討により,陶材成分以外の酸化物の可能性があるピ-クがいくつか認められたが,いずれもその強度が小さく化合物を同定するに至らなかった.界面に生成してくる化合物は,焼成時間が短いため,極微量の場合が多く,同定するためには赤外分光分析の結果を参考にするなど細心の注意が必要である.今後はこれら化合物の同定と合わせ,焼き付け強度の試験を行い,界面に生成した化合物がその強さに,どのような影響を与えているのかを,強度試験の結果と対応して検討する必要がある.
|