1991 Fiscal Year Annual Research Report
DNA多型解析による父子判定と高等霊長類の繁殖戦略
Project/Area Number |
03454003
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
竹中 修 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (00093261)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大澤 秀行 京都大学, 霊長類研究所, 助教授 (60027498)
加納 隆至 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (40045050)
杉山 幸丸 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (20025349)
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Keywords | チンパンジ- / ピグミ-チンパンジ- / 父子判定 / ジヌクレオチドリピ-ト / DNA多型 / 繁殖戦略 / 霊長類 / 繁殖構造 |
Research Abstract |
血縁選択説の提唱以来、動物の社会進化の研究において、血縁関係の把握が最も重最な課題となっている。しかしチンパンジ-など多くの高等霊長類では乱婚型の配偶を行なう種が多く、父子関係は全く不明のままであった。本研究においては、チンパンジ-やピグミ-チンパンジ-を初めとする霊長類で、種々のDNA多型解析法を応用し父子判定を行ない、霊長類の進化と繁殖構造の進化を明らかにするとともに、われわれに最も近いチンパンジ-の血縁認識について考察する。 ごく最近、ヒトの遺伝子上でGT(グアニン、チミン)を単位とした反復配列が頻度高く存在し、その反復数に多型性のあることが報告されている。チンパンジ-のゲノムでGT反復配列を含むDNA領域を探索し、15種類の領域について塩基配列を決定し、プライマ-を合成PCR法の適用をはかったところ、そのうち7種類のものが有効であることが判った。この方法を熊本県にある三和化学のチンパンジ-コロニ-に応用し、群飼育ゆえにいままで不明であった計24頭の父親を同定することができた。さらにタンザニア国マハレ国立公園の野生チンパンジ-、ザィ-ル国ワンバのピグミ-チンパンジ-について、現地にて収集し、アルコ-ルに浸漬し持ち帰ったサトウキビ等の繊維質食物の「しがみかす」を用い、その中の口腔内細胞を出発試料とする方法で分析を開始した。同野生チンパンジ-の長年にわたる観察結果と比較し、オスの社会順位と残したこどもの数、あるいはコドモの誕生日から受胎日を逆算しその前後の交尾行動等を含め考察する。 今年購入したハイブリダイゼ-ションは、フィンガ-プリント法による分析とGT反復配列発見のためのコロニ-ハイブリダイザ-ションの際に使用、カメラ及びレンズは、チンパンジ-の行動記録のため用いた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Miho Inoue: "Male mating behaviour and paternity discrimination by DNA fingerprinting in a Japanese macaque group" Folia Primatologica. 56. 202-210 (1991)
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[Publications] Miho Inoue: "Paternity testing in captive Japanese macaques (Macaca fuscata)using DNA fingerprinting" Paternity in Primates:Genetic Tests and Theories. 131-140 (1992)