1991 Fiscal Year Annual Research Report
低温による液胞膜生理機能の損傷と細胞内イオン環境に関する研究
Project/Area Number |
03454005
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
吉田 静夫 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (90001651)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前島 正義 北海道大学, 低温科学研究所, 助教授 (80181577)
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Keywords | 低温傷害と液胞 / 低温傷害の機構 / VーATPaseの分子構成 / 細胞画像解折 / 低温による細胞質酸性代 |
Research Abstract |
低温感受性のヤエナリの液胞膜に結合しているH^<+->ATPaseとH^<+->PPaseは共に10℃以下の低温で活性が著しく低下する。この原因は液胞膜に含まれる高融点のセレブロシド配糖体の相転移によるものと推定される。酸素の精製過程でこの脂質が強く結合している可能性が考えられたので詳しく分析したところ、予想に反していかなる脂質も酸素に結合していないことが判明した。現在精製酵素とリポゾ-ムの再構成を検討しており、生体膜脂質成分と酸素機能の関係がより明確になるものと思われる。 ヤエナリ培養細胞からプロトプラストを作りこれを低温処理したときの細胞因pHの変化をFDAをプロ-ブとして蛍光レシオイメ-ジ法により顕微鏡下でしらべた。O℃に冷やして3時間以内に細胞質のpHが著しく低下することが確認され、細胞内イオン環境の変化が細胞傷害の直接原因であることをつきとめた。 低温感受性植物と低温耐性植物では液胞膜H^<+->ATPaseの安定性に大きな違いがある。その原因を探ぐるため、ヤエナリとエンドウから精製された酸素についてSDSー電気泳動を用いて解折した。その結果、両植物では酸素のサブユニット構成に大きな違いが認められ、また、2次元電気泳動において、一部のサブユニットの等電点に大きな違いが認められた。このことは、酸素の低温安定性、強いては植物の耐寒性機構の解明に重要な手口となるものと思われる。現在抗体を作成中であり平成4年度で研究は大きく進展するものと思われる。
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