1991 Fiscal Year Annual Research Report
光合成チラコイド膜の光化学系タンパク質複合体のサブユニット・トポロジ-の研究
Project/Area Number |
03454013
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
池内 昌彦 理化学研究所, 太陽グループ, 研究員 (20159601)
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Keywords | 光合成 / 光化学系I / 光化学系II / 膜タンパク質複合体 / 水分解系 / 藍藻 / チトクロムC550 / 葉緑体DNA |
Research Abstract |
本研究費により購入したHPLCを用いて,次に述べる光化学系I,系II複合体の単離およびその複合体中の疎水性タンパク質の分析条件の検討を行なった。(1)好熱藍藻Synechococus vulcanusのチラコイド膜をドデシルマルトシドを用いて可溶化し,従来われわれが単離していた複合体よりも本来の姿に近い酸素発生能を保持した光化学系II複合体を単離することができた。この複合体には従来検出されていなかった表在性のチトクロムc550と12kDaタンパク質が定量的に結合していた。これらのタンパク質の光化学系IIにおける役割における役割を調べるために,現在本標品を用いて,可逆的遊離,結合実験を行っているところである。(2)形質転換藍藻Synechocystis PCC6803およびSynechococcus PCC7002から光化学系I複合体を単離し,そのサブユニットタンパク質を高解像度のSDSゲル電気泳動法とアミノ酸配列決定法によって分析した。光化学系I複合体には,PSIーC,PSIーD,PSIーE,PSIーF,PSIーI,PSIーJ,PSIーLタンパク質が確認され,さらに疎水性の3.5kDaタンパク質が新たに見つかった。類似のタンパク質は好熱藍藻Synechococcus vulcanusおよびSynechoccus elongatusにも見つかり,PSIーMと命名した。これらはいずれもアミノ酸32残基から成っており,既に報告されていたゼニコケの葉緑体DNA中のORF32がこれらに対応する遺伝子であることが明らかになった。このPSIーMタンパク質は光化学系I反応中心に強く結合しており,光化学系Iにおいて未知の重要な役割を果たしているかもしれない。(3)光化学系II複合体の構成タンパク質の断片化の条件を種々のプロテア-ゼを用いて検討したが,多くのタンパク質は複合体のままでは切断を受けず,現在さらに検討中である。
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