1992 Fiscal Year Annual Research Report
ニューロン機能解析と行動定量計測を同時結合させた昆虫ニューロンネットワークの解析
Project/Area Number |
03454017
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
久田 光彦 北海道大学, 理学部, 教授 (70000768)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長山 俊樹 北海道大学, 理学部, 講師 (80218031)
|
Keywords | 定位行動 / キチン / 聴覚ニューロン / フェロモン / 鳴声周波数 / クロコオロギ |
Research Abstract |
1)実験対象とする定位行動として、クロコオロギ雄の鳴き声に対する雌の定位接近行動を対象に、配偶のためのこのような行動の発現は羽化後ほぼ3日間にピークに達し、その後は維持される現象の機構を明らかにしようと試みた。 2)雄の鳴声のキャリア周波数は羽化後3,000KHZ 付近から始まり、5ないし6日間にかけて次第に上昇し、5.6 乃至6.0KHZとなって安定する事を見いだした。この周波数変化は羽化後徐々に進行するクチクラ表皮の硬化、βキチンの重合によるαキチン化と時間的に平行することが確かめられた。 3)同時に雌の聴覚器を構成する気管壁についても同様の変化が予想され、これによって聴覚ニューロンの周波数特性も平行して変わることが期待された。この可能性を確かめるため、行動学的解析を行ったが、その結果は現時点ではむしろ否定的である。 4)雄の発音器、雌の聴覚器の両者について上記の物理、化学的変化に呼応する、羽の運動系、聴覚器の聴覚特性に関わる神経系変化が有るか否かを解析した。運動系については特に継時的変化を認めるには到らなかった。 5)これらの研究に併せて、雄による配偶対象としての個体の性識別、すなわち、どうやって接近した個体が雌であるかを認識するかについて行動学的な解析を主として行った。その結果、雄は雌の体表に存在するフェロモン、おそらく分子量のあまり大きくない炭化水素系物質を手がかりとして識別していると結論された。 6)このフェロモンの同定、および、雄触角と口器からこの物質に対する感覚機構について、神経化学、神経生理学両面からの解析が次のステップとして必要となった。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] Nakagawa,H.and M.Hisada: "Local spiking interneurons controlling the equilibrium response in the crayfish Procambarus clarkii(Grrard)" J.Comp.Physiol.A. 170. 291-302 (1992)
-
[Publications] Sato,M.Nagayama,T.and M.Hisada: "Distribution of synapses on two types of ascending interneurons in the crayfesh,Procambarus clarkii" Cell Tissue Res.271. 9-21 (1992)
-
[Publications] Toga,T.and M.Hisada: "Cross connections coordinate postural motoneuron activity in the crayfish abdomen" J.Comp.Physiol.A. in press. (1993)
-
[Publications] Nagayama,T.Isogai,Y.Sato,M.and M.M.Hisada: "The morphological organization of intersegmental ascending interneurones in controlling uropod movements of the crayfish,Procambarus clarkii" J.Comp.Neurol. iin press. (1993)