1991 Fiscal Year Annual Research Report
精子より先体反応時に放出される蛋白質群の構造と機能
Project/Area Number |
03454018
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高木 尚 東北大学, 理学部, 助手 (00004474)
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Keywords | ムラサキイガイ / 精子先体 / MIFS / ライシン / アミノ酸配列 / cDNA / 機能 |
Research Abstract |
ムラサキイ貝の精子先端、先体胞には卵膜を溶かすライシンが、ぎっしりと詰っていて受精の際には、先体反応によってライシンが放出され、卵膜を溶かす事によって精子が卵に侵入して行く、と考えられて来た。確かに人工的に先体反応を起こさせ、先体胞を壊して出てくる物質の中にはライシン活性がある。しかし先体胞中にはライシン以外、どの様な物質があるのか生化学的に突止めた実験はなかった。今回先体中にライシン以外に卵の減数分裂を誘導させる物質(MIFS)がある事が分かったので、精子先体よりこれらの単離、精製を試みた。その結果、ライシン、MIFSは活性では検出できるが蛋白質としては、検出が困難な程微量成分である事が分かった。先体中の蛋白質は全部で少なくとも10種類からなり、主要蛋白質は22kで、2種のアイソフォ-ムからなる。この構造を蛋白質とcDNAから決定してみると、Cー型レクチンのドメイン構造を持っていた。確かに血球凝集活性はあり、アラビノ-ス、キシロ-ス等の5単糖で阻害される。しかし、この蛋白質の役割については未だ不明である。次に主要なものは分子量120kの物で、そのサブユニットは35kであり、4量体を構成している。蛋白質の部分構造を決定し、それを基にcDNAから全構造を決定中であるが、機能は不明である。この2種の蛋白質で全体の80%を占める。残りには16k、17k、19k、20k、30k、37k、40kの成分がある。37kはレクチン活性があり、18kと19kの異なるサブユニットから成っている。MIFSは40k、ライシンは17kであるが、詳しく調べてみると16kにもMIFS活性が検出された。これまでは微量であったため活性も検出できなかった為と思われる。現在これらの事をはっきりさせるため、これ迄になく大量にサンプルを調整し、活性を再検討中である。
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