1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03454025
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
小林 惇 広島大学, 総合科学部, 教授 (50033981)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宗岡 洋二郎 広島大学, 総合科学部, 教授 (40031330)
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Keywords | 軟体動物 / アフリカマイマイ / 神経ペプチド / 心臓拍動 / 筋収縮調節 / 同定ニューロン / 免疫組織化学 / D型アミノ酸 |
Research Abstract |
軟体動物アフリカマイマイの、心臓拍動と各種筋肉の収縮の調節に関与する神経ペプチドの働きとその局在に研究の焦点をしぼり、以下の結果を得た。 1.運動ニューロンB10による歯舌伸出筋の収縮調節機構を明らかにした。B10は主な伝達物質アセチルコリンと共に神経ペプチドACEP-1様物質を含有し、B10の発火によって放出されたACEP-1は、恐らくシナプス前神経終末に働きかけてアセチルコリンの分泌を促進し、筋の興奮ー収縮を増強的に修飾すると考えられる。 2.幼若動物神経節の全摘標本を用い、この動物から単離した神経ペプチドの分布・局在を免疫組織化学的に調べた。心拍増強ペプチドFMRFamideとACEP-1の抗体に強い免疫陽性を示す物質が、脳神経節と食道下神経節の多くのニューロン、ニューロパイル及び心臓へ行く腸神経に認められた。また、これらの物質は心房には多く存在したが心室には僅かしか存在しなかった。これらのペプチドは中枢神経節で作られ、軸索を通って心房まで運ばれて放出され、心室で拍動増強効果を現すと結論した。 3.この動物の神経節から単離・精製されたD型アミノ酸を有するペプチドfulicinのアナログを多数合成し、陰茎牽引筋を生物検定系に用いて、構造ー活性関係を調べた。この結果、fulicinは10^<-12>Mを閾値としてこの筋の収縮を増強的に修飾すること、またその活性発現にはN末端から2番目のD型アミノ酸の存在が必須であることがわかった。更に、免疫組織化学的方法により、fulicinの抗体に免疫陽性を示す物質は、陰茎牽引筋へ至る神経及びその神経を出している右足神経節と右側神経節内のニューロンに多く存在することを示した。これらの結果から、fulicinはこの動物の陰茎牽引筋の収縮調節に生理的に関与していることが明らかにされた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Kobayashi,M.: "Involvement of neuropeptides in the regulation of heart beat of the African giant snail Achatina fulica Ferussac." Comparative Physiology. 6. 211-219 (1992)
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[Publications] Fujisawa,Y.: "The FMRFamide-related decapeptide of Mytilus contains a D-amino acid residue." Comp.Biochem.Physiol.102C. 91-95 (1992)
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[Publications] Kobayashi,M.: "Invertebrate neuropeptides:Their localization structure and function." Experientia. 48. 423-424 (1992)
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[Publications] Muneoka,Y.: "Comparative aspects of structure and action of molluscan neuropeptides." Experientia. 48. 448-456 (1992)
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[Publications] Harada,M.: "Structure and function of the molluscan myoactive tetradecapeptides." Zool.Sci.10. (1993)
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[Publications] Kobayshi,M.: "Structure-activity relations and the distribution of a neuropeptide containing a D-amino acid residue “fulicin" isolated from the African giant snail." Peptide Chemistry 1992. (1993)