1992 Fiscal Year Annual Research Report
魚類視床下部神経ホルモン遺伝子の発現を制御する生理的要因の解明
Project/Area Number |
03454027
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
浦野 明央 東京大学, 海洋研究所, 教授 (00142232)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
兵藤 晋 東京大学, 教養学部, 助手 (40222244)
窪川 かおる 東京大学, 海洋研究所, 助手 (30240740)
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Keywords | サケ科魚類 / 視床下部 / 神経分泌 / 神経葉ホルモン / GnRH / TRH / 遺伝子の発現 / 環境要因 |
Research Abstract |
神経分泌細胞におけるペプチド性神経ホルモン遺伝子の発現は、そのニューロンの生理的な活動状態を反映して変動する。神経分泌細胞の活動は、体内・外の環境要因の変化によって変わると考えられているが、魚類の神経ホルモン遺伝子の発現が、環境要因によってどのように変化するかは、まったくと言っていいほど分かっていない。本研究では、この問題を明らかにするために、主にサケ科魚類を実験材料として、サケ属の魚でcDNAあるいは遺伝子の塩基配列が解明されている神経ホルモン遺伝子の発現を、環境要因の変動と関連付けて、定量的に解析しつつある。本年度は、以下に記すような進捗が見られた。 1.季節さらには生活史にともなう神経ホルモン遺伝子の発現の変動を解析するため、水産庁養殖研究所・日光支所の協力により、毎月1回、ヒメマスの間脳、脳下垂体、血液試料を採取してきた。現在試料を採取している群は、平成5年の9月に産卵するはずなので、そこまで試料を採取し、幼魚期から成熟して繁殖期にいたるまでの神経ホルモンおよび下垂体ホルモン遺伝子の発現の変動を解析する予定である。 2.平成4年初冬に三陸に産卵のために回帰してきたシロサケからの試料を、岩手県大槌漁協の協力によって、大槌湾口、湾内および大槌川河口で、十分量採取することができたので、それぞれのグループ間で視床下部の神経葉ホルモン遺伝子の発現に差が見られるかを解析しているところである。 3.解析する神経ホルモンの数を増やすために、生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)および甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)のcDNAの塩基配列の解析を行い、新しい知見を得ることができた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Suzuki, M: "Characterization and localization of mRNA encoding the salmon-type gonadotropin-releasing hormone precursor of the masu salmon." Journal of Molecular Endocrinology. 9. 73-82 (1992)
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[Publications] Matsumoto, A.: "Effect of androgen on the expression of gap junction and beta-actin mRNAs in adult rat motoneurons." Neuroscience Research. 14. 133-144 (1992)
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[Publications] Orikasa, C.: "Immunohistochemical study of growth hormone and prolactin cells in the pituitaries of anguilliform leptocephali captured in the Atlantic Sargasso Sea." Nippon Suisan Gakkaishi. 58. 1723-1727 (1992)
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[Publications] Hyodo, S.: "Expression of provasopressin gene during ontogeny in the hypothal amus of developing mice." Neuroscience. 46. 241-250 (1992)
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[Publications] Yada, T.: "Changes in growth hormone and prolactin messenger ribonucleic acid levels during seawater adaptation of amago salmon." Journal of Experimental Zoology. 262. 420-425 (1992)
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[Publications] Suzuki, M.: "Cloning and sequence analyses of vasotocin and isotocin cDNAs in the masu salmon, Oncorhynchus masou." Zoological Science. 9. 157-167 (1992)