1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03454028
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
斎藤 常正 東北大学, 理学部, 教授 (90111335)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
海保 邦夫 東北大学, 理学部, 助手 (00143082)
長谷川 四郎 北海道大学, 理学部, 助教授 (90142918)
|
Keywords | 有孔虫 / 生層序 / 炭素同位体比 / 海洋無酸素事件 |
Research Abstract |
日本列島の主な海成白亜紀層について、浮遊性有孔虫による生層序を確立し、地層の年代の決定と堆積環境の復元を行った。とくに、北海道枝幸郡中頓別町西部地域、北海道幾春別東南部地域、北海道浦河町南西部地域に分布する白亜紀後期の地層については、古環境解析の結果、沿岸相から大陸斜面上部相の堆積断面が得られることが判明し、含まれる底生有孔虫の殼形態の解析による、白亜紀海洋中の溶存酸素量の解析を行った。溶存酸素量は、白亜紀初期の中程度の状態から、セノマニアン階後期からコニアシアン階にかけて、酸素極少期へと変化し、コニアシアン階以後高溶存酸素状態へと移化して行った過程が復元された。また、北海道幾春別東南部〜大夕張および留萌地方の小平(おびら)地域の2つのセクションについては、堆積物に含まれる有機物中の炭素同位体比を測定し、両地域に共通してセノマニアン/チューロニアン階の境界においてδC^<13>が-2 0/00ほど、短期間に急激な変化を記録していることを見出した。類似の変化が、アメリカ中西部、コロラド州のペブロ地域の同時代層にも認められ、その原因は汎海洋的なものであることを示唆している。したがって、この炭素同位体比の変化は、今後世界の後期白亜紀層の対比に有効な、同時間面を与えることが明らかになった。西南日本の四万十帯の白亜紀層は、多くが海溝斜面の堆積物であり、強い構造変化を受けていることと、深い堆積深度のために、古海洋学的な研究目的には不適である。しかし、研究の副産物として、これらの地層に顕著に異質岩体として含まれる石灰岩塊は、多くがアルビアン階の深海に堆積したことが明らかになった。
|
Research Products
(2 results)