1991 Fiscal Year Annual Research Report
アポミクシスの導入によるリンゴ自家結実性品種育成に関する研究
Project/Area Number |
03454034
|
Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
斎藤 健一 弘前大学, 農学部, 教授 (70003423)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 隆二 弘前大学, 農学部, 助手 (90202978)
奥野 智旦 弘前大学, 農学部, 教授 (60003571)
原田 竹雄 弘前大学, 農学部, 助教授 (10228645)
新関 稔 弘前大学, 農学部, 助教授 (40001490)
|
Keywords | リンゴ / アポミクシス / 自家結実性 / Malus |
Research Abstract |
1.弘前大学農学部附属農場で保存されていたMalus scheideckeriはアポミクシを示し、文献の記載(Brown1975)と一致しないことから,RCP法を用いたDNAフィンガ-プリントによって調査したところ,M.hupehensisであることが認められた。この他にM.micromalus,M.sieboldiiもアポミクシスの遺伝資源として有用であることが認められた。 2.M.hupehensis X M.robusta及びM.hupehensis X‘印度'の実生を供試し,フィンガ-プリントによって雑種が得られたかどうかを検討したところ,前者では雑種を確認できたが,後者では確認できなかった。 3.M.hupehensisにMalus属10種の花粉を受粉して得られた種子を催芽させ,その子葉1枚を供試し,アイソザイム(PoxとAcp)のザイモグラムによる交雑率の推定を試みたが,一部の組合せで交雑が示唆された。 4.M.hupehensisの1系統は3倍体で雄性不稔であることは報告されている(Zeven and de Wet)が雌蘂の機能はよくしられていないので,正常花粉(紅玉)を受粉し,12時間隔で花粉管伸長を調査したところ,花粉管伸長は順調であり,花柱機能は正常であると判断された。 5.M.hupehensisには3倍体と4倍体の2系統存在することが報告されている(Brown1975)が,本研究に供試した系統の染色体数を調査したところ3倍体であること,また雄性不稔であることが確認された。 6.M.hupehensisの胚発生が確認できる時期は7月下旬〜8月上旬で,栽培品種に比較して約2か月遅いこと,また多胚種子の割合が比較的高いことから,無受粉で得られる種子は珠心などの体細胞に由来することが示唆された。 7.自家不結実性の強い品種‘スタ-キングデリシャス'の花柱中に存在する自家花粉の花粉管伸長阻害物貭を検討した。現在までのところ,その阻害物貭は糖蛋貭の1種であることが推測された。
|
-
[Publications] 斎藤 健一,新関 稔,原田 竹雄,石川 隆二: "リンゴの自家不和合性に関する研究・7.自家受粉方法と種子稔性" 育種学雑誌. 41(別2). 198-199 (1991)
-
[Publications] 原田 竹雄,石川 隆二,新関 稔,斎藤 健一: "PCR法を用いたDNAフィンガ-プリントによるリンゴ栽培品種の花粉親の判定" 育種学雑誌. 41(別2). 122-123 (1991)