1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03454053
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
真梶 徳純 千葉大学, 園芸学部, 教授 (90111418)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野村 昌史 千葉大学, 園芸学部, 助手 (50228368)
天野 洋 千葉大学, 園芸学部, 助教授 (00143264)
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Keywords | ナミハダニ / カーネーション寄生性 / 光周反応 / 休眠性 / 電気泳動 / アイソザイム |
Research Abstract |
ナミハダニには黄緑型と赤色型の2型があるが、カーネーションには黄緑型は寄生しないとされていた。しかし、最近休眠誘導の光周反応性が低下した黄緑型が西南暖地のカーネーションの一部で寄生が認められるようになってきた。本研究はナミハダニの休眠性とカーネーションの寄生性に着目し、環境条件の変化にともなって種内の生理、生態的特徴がどのように変化しているかの実態を明らかにしようとするもので、本年度得られた成果は次のとおりである。 1.現地調査の結果、今年度新たに和歌山、奈良、長野の一部で黄緑型ナミハダニがカーネーションに寄生しているのが認められた。 2.長野県東部町のカーネーション栽培ハウスに発生している黄緑型ナミハダニをカーネーション、イヌタデ、ミドリハコベより採集し、それぞれの個体群の休眠性と発育期間を調査したところ、いずれの個体群も非休眠性であった。しかし、発育速度には違いが認められ、カーネーション寄生個体群は他の個体群に比べ発育速度が大きく、短期間で成虫に達した。 3.上記の寄主植物およびハウス周辺ヤブマメ寄生個体群間の体液タンパク質をゲル電気泳動法を用いて比較した。エステラーゼ染色による活性部位から判断すると、2つの遣伝子座に支配される単量体酵素と推定され、それぞれに2つの対立遣伝子が認められた。これを基にそれぞれの遣伝子組成をみると、カーネーション個体群はハウス内のミドリハコベや周辺のヤブマメ寄生個体群に比べると単調な遣伝子組成を示すことが明らかとなった。 さらに詳しい研究が必要であるが、これらの結果からカーネーションへの寄生性獲得の際、個体群になんらかの選抜圧がかかっているのではないかと考えられた。
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