1993 Fiscal Year Annual Research Report
トレハラーゼ阻害剤の昆虫生理に及ぼす影響と害虫制御への利用の研究
Project/Area Number |
03454057
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Research Institution | National institute of Health |
Principal Investigator |
河野 義明 国立予防衛生研究所, 昆虫医科学部, 室長 (10225386)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹田 敏 蚕糸昆虫農業技術研究所, 生体情報部, 室長
高橋 正和 国立予防衛生研究所, 昆虫医科学部, 主任研究官 (00109969)
倉橋 弘 国立予防衛生研究所, 昆虫医科学部, 室長 (00100074)
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Keywords | トレハラーゼ阻害剤 / バリドキシルアミンA / 殺虫作用 / 昆虫の糖代謝 / 昆虫飛翔の抑制 / ヨトウガ / ワモンゴキブリ / トノサマバッタ |
Research Abstract |
トレハロース定量法の検討:ワモンゴキブリの体液トレハロース濃度をNMR法とHPLC法とによる定量値を比較した結果、後者でやや高い値を与えたが、NMRによる定量が信頼できることを確認した。さらに、NMR法によれば、体液の主要成分を同時に測定でき、同じサンプルを数種の核種により分析できる利点もあることがわかった。 VAA処理によるヨトウガ幼虫死亡原因:体液中のトレハロースおよび他の成分の、幼虫から蛹にかけての変動、ラベル化合物を使った糖代謝、およびそれらに及ぼすVAAの影響を分析した結果、死亡原因は、蛹への急激な組織構築がエネルギー代謝異常により不完全になるためであると推測された。 VAAによるワモンゴキブリ飛翔の抑制:VAA投与によってゴキブリの筋肉トレハラーゼが阻害され、体液中のトレハロースを取り込み代謝することができなくなることが飛翔抑制の原因であるが、この昆虫が他のエネルギー源である脂質などを飛翔エネルギーとして利用できないことが、その背景となっている。 VAAのトノサマバッタに対する影響:バッタではVAA投与によりトレハラーゼが阻害されて、エネルギー代謝が抑制されるが、飛翔は影響を受けないことが明らかになった。しかし、卵巣の発育が強く阻害され、ほとんど産卵しなくなることが観察された。VAAを害虫制御に利用するための標的として、致死作用や飛翔抑制と同じように生殖機能の阻害を考えることも重要である。 VAA関連化合物のスクリーング:ヨトウガとチカイエカの幼虫を用いてVAA関連化合物の表皮透過性のスクリーニングを行なった。VAAの有機スルホン酸塩や直鎖脂肪酸を導入した化合物の中に表皮透過性に関して若干改良されたものが見いだされたが、未だ、実用につながる化合物は得られなかった。
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[Publications] N.Asano: "Microbial preparation of alpha,alpha'-[1,1'-^<-13>C]trehalose" Carfohydrate Res.243. 71-78 (1993)
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[Publications] Y.Kono: "Lechel activity of a trehalose inhibitor,validoxylamine A,and its influence on the bloodsugar level in Bombyx mori." Appl.Entomol.Zool.28. 379-386 (1993)
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[Publications] Y.Kono: "Lethal activity of a trepalase inhibitor,validoxylamine A against Mamestra brassical and Spodoptera litura." J.Pesticide Sci.19. 39-42 (1994)
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[Publications] Y.Kono: "Inhibition of flight in Periplaneta americana(Linn.)by a trehalase infibitor,validoxylamine A." J.Insect Physiol.40. (1994)