1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03454063
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
北川 泰雄 名古屋大学, 農学部, 助教授 (50101168)
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Keywords | ラミニン / 細胞外マトリックス / 基底膜 / 血管新生 / 上皮細胞 / 内皮細胞 / cDNAクロ-ニング |
Research Abstract |
動物組織の構成成分である細胞外マトリックスは、骨形成、血管新生、神経網形成、癌転移などに関与しているので、高分子医薬開発の新しい標的として注目されている。基底膜は上皮や内皮細胞層に基盤を与える細胞外マトリックスである。基底膜の主要糖蛋白質であるラミニンは、細胞機能に強く作用することが知られている。EHS腫瘍から多量に精製できる「典型的」ラミニンは、A、B_1とB_2鎖が会合してジスルフィド結合で安定化された十字架状の構造体である。我々はこのラミニン複合体が1種類ではないことを発見した。A鎖には類縁体があり、細胞は分化や環境条件に応じたサブユニットすりかえ機構で2種類の複合体を形成しその量比を制御していることを明らかにした。本研究では組織形成の根幹であるラミニン複合体の多様性発現機構を分子生物的手法を用いて解析しようとした。まず、細胞が多様な機能性モジュ-ルを柔軟に組換えて多様なラミニン分子型を合成する機構を人為的な遺伝子導入で解析した。このために、操作した各鎖cDNAを強制発現させて培養細胞に雑種ラミニン複合体形成させて内在性のラミニン複合体形成を撹乱して制御機構を解析しようとしたが、組換え体の発現レベルが低いために内在性ラミニン形成の撹乱を見ることはできなかった。さらに強力な発現系の確立を急いでいる。他方、我々は3T3ーL1やウシ内皮細胞がA,B_1,B_2に加えてA^1を合成し、B_1B_2を共通の前駆体にAB_1B_2とA^1B_1B_2を同時に形成することを示した。このことは、異なるペプチドでありながらA^1はAに代わって鎖間会合に参加できることを示す。これをアミノ酸配列で検証すべく、Aの全長CDNAクロ-ンを単離してその塩基配列を決定して構造解析を行っている。現在までに2つの独立したライブラリ-を構築してスクリ-ニングを進めているが、A^1鎖はA鎖とは相同性が低いことが示唆された。
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[Publications] 北川 泰雄,時田 由紀子: "ラミニンの分子多様性と細胞機能" 蛋白質・核酸・酵素. 36. 713-721 (1991)
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[Publications] 三木 清史,北川 泰雄: "動物細胞のウラとオモテ" バイオサイエンスとインダストリ-. 49. 501-504 (1991)
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[Publications] Yasuo Kitagawa: "Possible role of lamiuin orgauization of polarized Rpithelium and eudothelium" Proceedings of International Symosium on Structure and function of Extracellular Matin X. 65-68 (1991)
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[Publications] Yasuo Kitagawa: "Role of Vitamin C in basement membraul synthesis and cell differetiotion" Proceedings of 1st International Cougres on Vitamins and Biofoctores in life Science. (1992)
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[Publications] 北川 泰雄,小野 雅昭: "脂肪細胞分化と細胞外マトリックス" 細胞. 23. 175-178 (1991)
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[Publications] 北川 泰雄,全煦: "血管新生抑制ステロイドとラミニン" 生体の科学. (1992)
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[Publications] 守田 昭仁,北川 泰雄: "新生化学実験法(共著,「ラミニンと表面膜」を担当)" 東京化学同人, (1992)
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[Publications] 北川 泰雄,三木 清史: "レチノイド(共著,「レチノイドの細胞分化と増殖とのかかわり」)" 講談社, (1992)