塩素化芳香族化合物分解微生物群の遺伝学的解析と分解能獲得の進化学的解析

1991 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 03454067
• Research Institution: Nagaoka University of Technology
• Principal Investigator: 矢野 圭司 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (10011842)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 金原 和秀 長岡技術科学大学, 工学部, 助手 (30225122) ; 福田 雅夫 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (20134512)
• Keywords: PCB / 分解系遺伝子 / クロ-ニング / PCR / 分子進化

Research Abstract

本研究では、塩素化芳香族化合物の代表例としてPCBに着目し、環境中での分解能を検定し、その分子進化学的意味を探り、将来、環境中からの汚染物質の除去に応用することを目標としている。
我々はすでに、塩素置換数の多いPCB分解菌の取得を目的とした土壌のスクリ-ニングにより、今までに無い分解スペクトルを持つPCB分解菌の単離取得に成功しているが、それを更に一歩進めて環境中における分解能の伝播について検討し、遺伝子群の繋がりについて組換えDNA手法を用いて実験を行なっている。また、塩素置換芳香族化合物分解に関与する遺伝子群の構造的繋がりについて、塩基配列、タンパク質配列による解析を行ない、分解能と、タンパク質構造の進化について、評価を加えることを試み以下の結果を得た。
既に単離されているPCB分解に関与する遺伝子群(bphA,B,C,D)の塩基配列の比較より、ベンゼン,トルエン,ナフタレンなどの芳香族化合物の分解に関与する遺伝子群が、広い範囲で高い相同性を持つことを見出だした。本研究においては、PCB分解系のうちメタ開裂物質を生成するbphCについて高く保存された領域についてコンピュ-タ-を用いた解析を行ない、酵素的DNA増幅法(PCR)に用いるプロ-ブの作製と、それを用いた相同遺伝子のクロ-ニングを行なった結果、新たなbphC遺伝子の単離に成功した。DNAの土壌からの直接抽出および精製については新たに導入した分離用超遠心機を用い、従来の方法を参考にした新たな手法の開発を行なった。以上の様に従来の研究成果ならびに新たに導入した土壌からのDNAの直接抽出方法およびPCRにより類似したbphC遺伝子のクロ-ンが可能であることが確認された。