1991 Fiscal Year Annual Research Report
コメにおけるアレルゲン蛋白質の発現制御に関する遺伝子工学的研究
Project/Area Number |
03454068
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中村 良 名古屋大学, 農学部, 教授 (70023398)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安達 貴弘 名古屋大学, 農学部, 助手 (50222625)
松田 幹 名古屋大学, 農学部, 助教授 (20144131)
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Keywords | 米アレルゲン蛋白質 / 遺伝子 / シスエレメント / 転写調節領域 / ゲノムDNA |
Research Abstract |
米アレルゲン蛋白質(RA)は、極めて構造の類似した一群の水溶性蛋白質であり、その分子量は14〜16kDaである。最近、穀類及び豆類に広く存在するトリプシン/αーアミラ-ゼインヒビタ-ス-パ-ファミリ-に属することが見出されている。本研究においては、RA遺伝子の構造を解析する目的のもとに、既に得られているRAのcDNAクロ-ンをプロ-ブとしてイネゲノムDNAライブラリ-のスクリ-ニングを行った。その結果、5つの陽性クロ-ンを得、各々の制限酵素地図より、すべてのクロ-ンに同一の塩基配列をもつ領域を含んでいることを見出した。その内の1つのクロ-ン(RAGC4)には4Kbほど離れて2つのRA遺伝子(RA1,RA2)がそれぞれの5'側を隣接して存在していた。両遺伝子の塩基配列を決定したところ、RA1遺伝子は蛋白質翻訳領域のN末端側の約半分までしかクロ-ン化されていなかったが、プロ-ブに用いたcDNAの塩基配列とは全く同じものであった。一方、RA2遺伝子は全翻訳領域を含んでいたが、イントロンは存在しなかった。また、両遺伝子の開始コドンであるATGの上流約50bp付近にTATAボックスが存在していた。さらに、ゲノムDNAを用いたサザンブロッティング解析より、RA遺伝子はゲノム上に少なくとも4〜5コピ-存在することが明らかとなった。次いで、RA遺伝子の5'上流域にはRAの発現調節に関与する特異的なシスエレメントの存在が考えられるので、登熟期イネ種子より調製した粗核蛋白質を用いてゲルシフト及びフットプリント法によりRA1及びRA2遺伝子の転写調節領域の解析を行った。その結果、RA遺伝子の転写開始点よりー303〜ー151及びー153〜ー68の領域に結合する共通の核蛋白質の存在が明らかとなりRA遺伝子の発現はこの核蛋白質因子により制御を受けているものと推定された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 松田 幹: "Immunochemical Studies on Rice Allergenic Proteins." Agric.Biol.Chem.55. 509-513 (1991)
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[Publications] 中村 良: "穀物のアレルゲン物質とその軽減化" 農業および園芸. 67. 205-209 (1992)
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[Publications] 和泉 秀彦: "Nucleotide sequence of a cDNA clone encoding a major a major allergenic protein in rice seedsーHomology of the deduced amino acid sequence with members of αーamylase/trypsin inhioitor family."
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[Publications] 中村 良: "食品分析学(アレルゲン成分の解析)" 文永堂出版, 203-218 (1991)