1992 Fiscal Year Annual Research Report
植物培養細胞の光要求型除草剤に対する耐性変異発現に関する研究
Project/Area Number |
03454069
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research (RIKEN) |
Principal Investigator |
吉田 茂男 理化学研究所, 薬剤作用研究室, 主任研究員 (50011987)
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Keywords | 薬剤耐性変異 / 植物培養細胞 / 光要求性除草剤 / クロロフィル生合成 |
Research Abstract |
ジフェニルエーテル類(DPE)やN-フェニルフタルイミド誘導体(NPI)は、クロロフィル生合成系において、プロトポルフィリノーゲンからクロロフィライドへ至る過程を特異的に阻害する。本研究においては、NPIを薬剤ストレスとして与えながらタバコ光独立栄養細胞を選抜培養することによってDPEやNPIに対して特異的な耐性を示す変異株が得られることを証明した。この新しい生物材料とNPIを用いて生化学的な解析を行ない、作用中心であるプロトポルフィリノーゲン酸化酵素に薬剤耐性変異が生じていることを確認した。そこで、葉緑体を浸透圧破砕してストロマ画分と膜画分を調製し、酵素活性の存在箇所を調べた。この結果、γ-アミノレブリン酸を基質として与えた場合にはプロトポルフィリン生成能のほとんどがストロマ可溶性画分に存在することが判明した。一方、プロトポルフィリノーゲンを基質とした場合には膜画分にも活性が認められ、これらの酵素活性はNPIによって同様に阻害されることも確認した。以上の実験結果は、葉緑体中に2種類のプロトポルフィリノーゲン酸化酵素が存在し、それぞれはストロマ中と膜上に存在していることを示唆している。 薬剤耐性細胞株は再分化能が欠落しているため、種々の条件で誘導した再分化可能な細胞とプロトプラスト状態での融合を試みたが、再分化する融合細胞を得ることはできなかった。 現在、可溶性ストロマ画分に存在するプロトポルフィリノーゲン酸化酵素の追究を行なっており、阻害剤結合様式の解析や酵素の精製および単離を行なって、最終的には酵素の一次構造および薬剤結合領域の決定を目標として研究を継続する。
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[Publications] F-S.Che′Y.Takemura,N.Suzuki,K.Ichinose,J-M.Wang and S.Yoshida: "Localization of Target-site of Protoporphyrinogen Oxidase-Inhibiting Herbicide,S-23142,in Spinacia oleracea L." Z.Naturforsch.48c. (1993)