1991 Fiscal Year Annual Research Report
日本産主要広葉樹材のチロ-スおよびガム物質の組識学的研究
Project/Area Number |
03454078
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大谷 諄 北海道大学, 農学部, 助教授 (30001465)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐野 雄三 北海道大学, 農学部, 助手 (90226043)
船田 良 北海道大学, 農学部, 助手 (20192734)
|
Keywords | チロ-ス / 道管 / 放射柔細胞 / 軸方向柔細胞 / 道管柔細胞間壁孔 / 環孔材 / 散孔材 / 走査電子顕微鏡 |
Research Abstract |
落葉広葉樹28種(環孔材11種、散孔材17種)の天然チロ-スについて、現在までに得られた成果について以下に記す。 1.チロ-スが発生しはじめる部位:14種(環孔材9種、散孔材5種)に存在した。環孔材の孔圏道管のチロ-スは、ミズナラ、コシアブラを除く7種では、樹皮側から1、2年輪目から発生し、孔圏外や散孔材の道管より早く発生する。2.チロ-スが由来する柔細胞の種類:オノエヤナギでは放射柔細胞のみであったが、他の13種では放射柔細胞と軸方向柔細胞の両方であった。オノエヤナギでは軸方向柔細胞は道管と接触しているが、そこには壁孔対が存在しない。異性放射組識を有する7種中6種では平伏細胞と直立(方形)細胞の両方に由来する。カツラでは直立細胞のみに由来するが、これは平伏細胞・道管間に壁孔対が存在しないことによる。3.チロ-スが発生する道管・柔細胞間壁孔の形態:4種を除いて道管・柔細胞間の道管側の内孔口の大きさ(平均値)は、チロ-スが存在する樹種では長径5μm、短径2μm以上であったが、存在しない樹種ではそれ以下であった。4.心材でのチロ-スの存在状態:次の4タイプに分けられる。(1)、密につまった多数のチロ-ス。道管内こうを完全に閉塞する。(2)、道管内こうに1列に並ぶチロ-ス。上下のチロ-ス壁は密着し、縦方向にほぼ等間隔に隔離状を呈する。道管内こうを完全に閉塞する。(3)、道管内こうに1列に並ぶチロ-スは縦方向に不規則な間隔をあけて存在し、道管内こうを閉塞する。(4)、くずれているチロ-ス。道管内こうを閉塞しない。チロ-ス壁は薄い。今後未観察の樹種について上記項目を調べるとともに、ガム物質の発生、形態について走査電子顕微鏡による観察を進める。
|