1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03454080
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊東 隆夫 京都大学, 木質科学研究所, 教授 (70027168)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 隆久 京都大学, 木質科学研究所, 助教授 (70231529)
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Keywords | 細胞壁 / 微小管 / 蛍光抗体法 / セルロ-スミクロフィブリル |
Research Abstract |
蛍光抗体法による細胞壁形成の分子構築機構の一貫として、明所ならびに暗所で生育させたトチノキを用いて上胚軸の成長に個々の構成細胞内の微小管がどのような関わりを持つのかを蛍光抗体法を用いて研究した。トチノキシュ-トの成長段階は(A)初期成長期、(B)活発な成長期、(C)成長減少期、(D)成長休止期の4段階に分けた。また、上胚軸組織を外側から順に表皮細胞(a)、皮層細胞(b)、外部柔細胞(c)、内部柔細胞(d)に分けて調べた。暗所で生育させた上胚軸の微小管配向はa〜dのいずれにおいても、(A)ではもっぱら横巻き、(B)では比較的横巻き傾向、(C)と(D)では主として斜め方向であった。一方、明/暗所で生育させた上胚軸では、微小管配向は(A)では主として横巻き、(B)では主として斜め方向、(C)と(D)ではどちらかといえば斜めあるいは縦方向となり、暗所のものより幾分早く方向を変えることがわかった。さらに、両成長条件下では、微小管は内部よりも外部柔細胞の方が急角度になる傾向がみられた。 以上から、トチノキ上胚軸の構成細胞が活発に伸長成長しているときは微小管は横巻きとなりミクロフィブリルを横巻きにコントロ-ルすることにより縦方向の伸長を容易にしていると考えられるが、伸長が衰えてくると微小管の配向が横巻きから斜めや縦方向に変化することが判明すると同時に斜めや縦方向のミクロフィブリルを堆積するものと考えられる。したがって、微小管は細胞の伸長が停止する前に、伸長を抑える方向に配向を変えるものと推定された。 上記実験と平行してわたの繊維細胞の二次肥厚にともなう微小管配向の変化をコルヒチン処理による影響を与えて調べ、セルロ-スミクロフィブリルの配向制御が微小管と深く関わっていることをも明らかにした。
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