1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03454082
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 譲 東京大学, 農学部, 助教授 (40107412)
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Keywords | 魚類 / 卵稚仔 / 免疫 / 母子免疫 / IgM |
Research Abstract |
魚類免疫系の発生過程の解明は,稚仔魚の耐病性機構を解明し斃死という水産養殖上の問題を解決するための手がかりを与えるものとなり極めて重要な課題である。本年度は,親魚血漿中の抗体分子の卵稚仔への移行現象と,仔稚魚期における自己の免疫系の発達という二つの異なる生体防禦機構解明のための基礎的検討を行なった。 1)ニジマス卵稚仔からのIgM抽出をFPLCなどを用いて試みた。ポリアクリルアミド電気泳動イムノブロッテイング法で,IgM様タンパクが検出されるが,血漿中のものとは分子量が異なることが明らかとなった。 2)秋〜冬産卵のニジマスを用い,個体ごとに成熟・産卵周期の中で,親魚血液中のIgM量の変動を酵素免疫測定法によりとらえた結果,産卵期にIgM量の低下が見られ,産卵期における親魚の斃死との関係が示唆された。 3)卵稚仔の酵素免疫測定法によるIgM測定法に関してはコイ,ニジマスでその開発を目指したが,卵稚仔と親魚とではIgM分子に差が見られることからさらに検討が必要である。 4)自己の免疫系の発達としては,ナマズ,マダイで詳細な組織学的検討を行なった。これらの魚種ではIgM測定法を確立したので次の産卵期にはそれによる分析を行なう。 5)こられの研究において,これまで作成したすべての魚種の抗IgM抗体がH鎖とはよく反応するがL鎖とは反応が弱い,または全く見られないため詳細な分析ができないことが明らかになってきた。そのため現在,L鎖とH鎖とを分離してそれぞれに対するポリクロ,モノクロ抗体を作成すべく,現在分離精製が進められておりほぼ終了している。
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