1991 Fiscal Year Annual Research Report
海洋無脊椎動物からのセリンプロテア-ゼ阻害物質の探索
Project/Area Number |
03454088
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伏谷 伸宏 東京大学, 農学部, 教授 (70012010)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣田 洋 東京大学, 理学部, 助手 (00126153)
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Keywords | 海洋無脊椎動物 / 酵素阻害 / トロンビン / トリプシン / セリンプロテア-ゼ / 海綿動物 / nazumomide A / テトラペプチド |
Research Abstract |
伊豆半島、伊豆諸島、九州沿岸および四国沿岸等で海綿動物240検体、腔腸動物14検体、外肛動物7検体および原索動物の19検体を採集した。各検体の熱メタノ-ル抽出物をクロロホルムと水で分配し、脂溶性および水溶性画分を調製した。それぞれの画分についてトロンビン、トリプシンなどのセリンプロテア-ゼに対する阻害活性を常法により調べた。その結果、海綿動物29検体および原索動物1検体に活性が認められた。なお活性は水溶性画分に主に認められたが脂溶性画分にも活性を示すものがあった。 つぎに上記スクリ-ニングで水溶性画分に強い活性が認められた八丈島産海綿Theonella sp.から活性物質の単離と構造の解析を試みた。すなわち、凍結試料をエタノ-ルで抽出後、溶媒分画、ゲルろ過および逆相系カラムを用いたHPLC等で活性物質を精製したところ、先に同種海綿から得られたcyclotheonamide Aとともに、IC_<50> 2.8μg/mLでトロンビンを特異的に阻害する活性成分を得ることができた。Nazumamide A(1)と名付けたこの物質の構造を、アミノ酸分析およびNMR等のスペクトル分析により解析した結果、Nー末端に2.5ージヒドロキシ安息香酸が結合した特異なテトラペプチドと決定することができた。
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[Publications] Nobuhiro Fusetani: "Nazumamide A,a ThrombinーInhibitory Tetrapeptide,from a Marine Sponge,Theonella sp." Tetrahedron Letters. 32. 7073-7074 (1991)