1992 Fiscal Year Annual Research Report
海洋無脊椎動物からのセリンプロテアーゼ阻害物質の探索
Project/Area Number |
03454088
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
伏谷 伸宏 東京大学, 農学部, 教授 (70012010)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松永 茂樹 東京大学, 農学部, 助手 (60183951)
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Keywords | 海洋無脊椎動物 / 酵素阻害 / トロンビン / トリプシン / セリンプロテアーゼ / 海綿動物 / toxadocial A / 硫酸コステル |
Research Abstract |
伊豆半島、伊豆諸島、九州沿岸および四国沿岸で海綿動物273検体、腔腸動物32検体、外肛動物7検体および原索動物26検体を採集した。各検体の熱メタノール抽出物をクロロホルムと水で分配し、脂溶性および水溶性画分を調製した。それぞれの画分についてトロンビン、トリプシンなどのセリンプテアーゼに対する阻害活性を常法により調べた。その結果、海綿動物45検体、腔腸動物5検体および原索動物5検体に活性が認められた。なお活性は水溶性画分に多く認められたが脂溶性画分にも活性を示すものがあった。 つぎに上記スクリーニングで水溶性画分が強に活性を示した八丈島産海綿Toxadocia cylindricaから活性物質の単離と構造の解析を試みた。まず、海綿の凍結試料をメタノールで抽出後、溶媒分画、ゲルろ過および逆相系カラムを用いたHPLC等で活性物質を精製したところ、IC_<50>6.5μg/mLでトロンビンを特異的に阻害する活性成分を得ることができた。ToxadocialA(1)と命名したこの物質は、FABMSおよびNMRデータから分子式C_<48>H_<92>O_<17>S_4Na_4が得られ、IRおよびHPLCによる分析などから4つの硫酸エステルと1つのアルデヒドを持つことが示唆された。また本物質は、長いメチレン鎖の繰り返し構造を持つため、2DNMRの解析のみでは構造を明らかにできなかった。そこで加水分解後、ジラール試薬PおよびTの誘導体に導き、FABMS/MS分析して、全構造を1のように決定した。
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