1992 Fiscal Year Annual Research Report
プロラクチンとそのレセプターとの分子反応機構に関する研究
Project/Area Number |
03454096
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Research Institution | THE UNIVERSITY OF TOKYO |
Principal Investigator |
酒井 仙吉 東京大学, 農学部, 助教授 (80114487)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 不学 東京大学, 農学部, 助手 (20175160)
河本 薫 東京大学, 農学部, 教授 (30011894)
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Keywords | プロラクチン / プロラクチンレセプター / 細胞膜レセプター / 乳腺 / ホルモン依存性解離 / 負の相互作用 / スカッチャードプロット / ヒルプロット |
Research Abstract |
本年度は最終年度であり、成果をまとめることを中心に行なった。本研究は、ホルモンレセプターの分子反応機構を解明し、ホルモン作用機序を明らかにすることである。このため、(1)細胞膜に存在するレセプターを細胞内のレセプターと識別する方法を確立すること、(2)高い濃度のプロラクチンの生理的作用機序をレセプターとの結合という面から解明する、の二点の研究を中心とした。(1)に関しての研究は、単離した乳腺細胞を用いて行なった。プロラクチンと結合しているレセプターを酢酸で処理すると、酸感受性と酸非感受性のレセプターに区別することが出来た。大部分の酸感受性のレセプターは細胞膜に存在し、非感受性レセプターは細胞内に局在した。細胞膜のレセプターは、分娩後除々に増加し泌乳量の増加と良く一致した。一方、非感受性レセプターは、分娩後急速に増加し平衡に達した。(2)に関しての研究は、ミクロゾームに含まれるレセプターを用い、高濃度プロラクチンと反応させた。得られたデーターをスカッチャード及びヒルのプロツトにより解析した。レセプターに結合しているプロラクチンは、プロラクチン濃度に依存して解離した。高濃度プロラクチンとレセプターの反応は、単純の二分子反応でなく複雑な相互作用をした。初めてこの機構の存在を明らかにした。更に、結合の前後でリセプターの構造が変わらないことから、非生理学的に高い濃度においては、むしろ活発にホルモンシグナルを産生する。一般に異常なホルモン分泌は、様々な代謝異常を引き起す。本研究成果は、この現象を合理的に説明することを可能にした。(1)と(2)の研究から得られた成果は、多大であり、学問の発展に寄与することが大きい。将来の理論的な研究の基礎となる。
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[Publications] SAKAI Senkiti: "Ebbect of hormones on dissociation ofp rolactin from the rabbit mammary gland prolactin receptor" Biochenical Journal. 279. 461-465 (1991)
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[Publications] SUZUSI Maki,KOHMOTO Kaoru,SAKAI Senkiti: "Radioreceptor assay of serum prola ctin using nitrocell a lose membrane-immobilized mammarye prolachn receptor" Analytical Biochemistny. 200. 42-46 (1991)
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[Publications] SAKAI Senkiti: "Ebbect of administration of a cfinomycin D and protein-synthesis inhibitors on the binding of prolactin to the mammey gland receptor" Animal Scieuce and Technologh. 63. 1-7 (1992)
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[Publications] KANAI-AZUMA,M.,KANAI,Y.KUROHMARU,M.,SAKAI,S.,HAYASHI,Y.: "Insulin-like growth bactor(IGF)-1 stimulates proliferation and migration of mouse ectorlacental come cells,while IGF-II trausborms them into tropno plastic giant cells in uitro" Biology of Reproduction. 48. 252-261 (1993)
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[Publications] 酒井 仙吉: "プロラクチン受容体による乳腺機能の調節-受容体遺伝子の構造-" 日本畜産学会報. 63. 1203-1208 (1992)