卵巣機能を調節する新しい生理活性物質群の単離・同定

1993 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 03454098
• Research Institution: The University of Tokyo
• Principal Investigator: 佐藤 英明 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (80093243)
• Keywords: 卵巣 / 生理活性物質 / マウス / 卵成熟 / 血管増殖 / グリコサミノグリカン / 黄体 / コラーゲナーゼインヒビター

Research Abstract

ヒトや家畜などの高等動物の卵巣では卵子の形成、卵胞の発育・破裂(排卵)、黄体の形成・維持など、多様な現象が営まれている。このような卵巣に見られる現象は、さまざまな生理活性物質によって調節されていると考えられるが、卵巣機能を生理、形態学的に解析する過程で私達は、いくつかの新しい生理活性物質の存在を推定してきている。本研究は、このような推定を背景として、卵巣機能を調節する新しい生理活性物質群を単離・同定し、それらの構造を明らかにしようとしたものである。平成3年〜5年度に得られた主な成果は次の通りである。
(1)ホッキ貝の卵表層から卵核胞崩壊を抑える物質を分離した。
(2)妊婦尿からマウスの卵母細胞の極体形成を抑えるタンパク質を分離し、N末端のアミノ酸配列を決定した。
(3)マウスの卵母細胞の減数分裂再開始に卵丘と顆粒層の間に蓄積する負に荷電したグリコサミノグリカンが関与することを明らかにした。
(4)卵母細胞の成熟、死滅の過程でc-fos遺伝子産物が発現することを明らかにした。
(5)卵巣から上皮成長因子の血管増殖能を増強させるグリコサミノグリカンを分離した。
(6)卵母細胞の退行を抑えるグリコサミノグリカンを分離した。
(7)顆粒膜細胞と黄体で発現する遺伝子を系統的に解析するとともに、黄体形成過程で強く発現するコラーゲナーゼインヒビター遺伝子の構造を明らかにした。

Research Products

• [Publications] 下田耕司: "Morphological differentiation of the microvasculature during follicular development,ovulation and luteinization of mouse ovaries" Development,Growth & Differentiation. 35. 431-437 (1993)
• [Publications] 佐藤英明: "Morphological profiles of mouse ovarian follicles" Archives of Histology and Cytology. 56. 293-302 (1993)
• [Publications] 井上麻紀: "Accumulation of the c-fos protein in mafuring oocytes in Graatian follicles in mice" Journal of Reproduction and Development. 39. 243-249 (1993)
• [Publications] 佐藤英明: "Glycosaminoglycans prevent induction of fragmentation of porcine oocytes" Cell Structure and Function. 19(印刷中). (1994)
• [Publications] 佐藤英明: "Ovarian glycosaminoglycans promoting viability of oocytes" Journal of Fertilization and Implantation. 11(印刷中). (1994)
• [Publications] 佐藤英明: "卵子の形成と死滅の制御因子" 蛋白質 核酸 酵素. 39. 60-65 (1994)
• [Publications] 豊田裕: "Biology of the Germ line" Japan Scientific Society Press, 304 (1993)
• [Publications] 佐藤英明: "新畜産学大事典" 養賢堂(印刷中), (1994)