1991 Fiscal Year Annual Research Report
性腺刺激ホルモン放出ホルモン類縁物質の徐放剤による犬の繁殖機能の抑制に関する研究
Project/Area Number |
03454112
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
森 純一 大阪府立大学, 農学部, 教授 (90167685)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉田 尋通 大阪府立大学, 農学部, 助手 (10155252)
稲葉 俊夫 大阪府立大学, 農学部, 講師 (00137241)
沢田 勉 大阪府立大学, 農学部, 助教授 (60081600)
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Keywords | 犬 / 性腺刺激ホルモン放出ホルモン / 黄体形成ホルモン / アンドロジェン / 黄体形成ホルモン・レセプタ- / 化学的避妊 / 下垂体前葉 / 性成熟 |
Research Abstract |
近年、野犬・野猫や家庭で飼育される伴侶動物の頭数の僧加は著しく、社会問題としてもその対策が求められている。本研究では、雄犬の性成熟過程における性ホルモンとそのレセプタ-について検討を行うとともに、最近開発された視床下部ホルモン(性腺刺激ホルモン放出ホルモン:GnRH)類縁物質(GnRHーA)の徐放剤を用いて、雄犬の繁殖抑制効果について検討した。得られた結果は以下の通りである。 1.雄犬の性成熟過程における黄体形成ホルモン(LH)、アンドロジェン、LHレセプタ-濃度の経時的測定を行い、雄犬では、生後4カ月頃までは下垂体からのLH分泌はまだ十分ではないが、6カ月を過ぎると下垂体はLHを拍動的に分泌するようになり、それに伴って精巣中LHレセプタ-量は増加し、精巣からのアンドロジェン分泌が刺激されて、精子形成を開始することが分かった。 2.成熟雄犬にGnRHーAの徐放剤(GnRHーAとして1mg/kg)を投与した結果、投与直後に血中LHおよびアンドロジェン濃度は一過性に上昇したが、その後投与前値以下に減少し、それに伴って精子形成が少なくとも3カ月間にわたり抑制された。さらに、犬卵子を用いたin vitroにおける精子の受精能試験の結果から、GnRHーA徐放剤投与後早い個体では5カ月を経過すると、正常受精能近くまで回復することが判明した。 3.GnRHの下垂体前葉からのLH放出に及ぼす影響についてin vitro潅流実験により調べた結果、GnRHを断続的に添加すると、これに呼応して大量のLHが放出されるが、一方、GnRHを連続的に添加した場合には、初期にはこれに反応して大量のLHが放出されるものの、その後はGnRHの添加にもかかわらず、下垂体は反応しないことが観察された。これらのことから、GnRHーAの徐放剤の作用機構として、その徐放効果により下垂体からのLH放出が抑制される結果、精巣からのアンドロジェン産生が低下し、精子形成阻害をもたらすという可能性が示唆された。
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