1993 Fiscal Year Annual Research Report
形態形成期の脳に特異的に発現しているプロテオグリカンの構造・局在・機能の解析
Project/Area Number |
03454121
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Research Institution | Institute for Developmental Research, Aichi Prefectural Colony |
Principal Investigator |
大平 敦彦 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 部長 (20101074)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 ふみ子 愛知県コロニー, 発達障害研究所, 助手
渡辺 英治 愛知県コロニー, 発達障害研究所, 研究員 (30250252)
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Keywords | プロテオグリカン / 脳 / 形態形成 / ニューロカン / モノクローナル抗体 / バレル / 体性感覚野 / in situ hybridization |
Research Abstract |
1.合成ペプチドを用いた抗ニューロカン抗体の作製 生後10日のラット脳から単離した、220kDaのコア糖蛋白をもつコンドロイチン硫酸プロテオグリカン(CSPG-220,ニューロカン)は、成熟脳では検出されない。私達は、CSPG-220とともにCSPG-150のコア蛋白をも認識するモノクローナル抗体1G2を作製した。他のグループの研究から、CSPG-150は、CSPG-220のC末端側の約半分に一致することが明らかとなった。N末端側の残り半分の分子を認識する抗体を作製する目的で、中央よりN末端側のアミノ酸配列(15残基)を持ったペプチドを化学合成し、常法に従ってウサギに免疫した。その抗血清は、CSPG-220のコア蛋白とともに、新たにCSPG-130を認識することが明らかとなった。脳の発達に伴うCSPG-130の量的変動をウェスタンブロットで調べたところ、CSPG-150の変動とほぼ一致した。この結果から、ニューロカンは、形態形成期の脳では主としてCSPG-220として、また成熟脳ではCSPG-150とCSPG-130に分かれた形で存在することが明らかとなった。 2.バレル形成過程におけるニューロカンの発現調節機構 モクローナル抗体1G2を用いた免疫組織化学により、ニューロカンは、新生仔ラット大脳皮質に均質に分布していること、生後3日以降、大脳体性感覚野において、バレルの内空から消失していくことがわかった。新生仔ラットのヒゲを1列レーザーメスで焼却した場合には、そのヒゲに対応するバレルでは、このようなニューロカンの分布変化が起こらなかった。ニューロカンコア蛋白のcDNAの塩基配列をもとにRNA probeを作製し、in situ hybridizationにより、バレル領域でのニューロカンmRNAの発現量を調べたところ、激減していた。以上の結果から、ヒゲからの入力刺激が、中枢におけるニューロカンの産生を転写レベルで抑制することが示唆された。
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[Publications] Katoh-Semba,Ritsuko: "Core proteins of soluble chondroitin sulfate proteoglycans purified from rat brain block the cell cycle of PC12D cells" Journal of Cellular Physiology.156. 17-23 (1993)
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[Publications] Matui,Fumiko: "Biochemical comparison of brain glycosaminoglycans between normal and reeler mutant mice" Neuroscience Research. 16. 287-292 (1993)
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[Publications] Oohira,Atsuhiko: "Developmentally regulated espression of a brain specific species of chondroitin sulfate proteoglycan,neurocan,……" Neuroscience(in press). (1994)
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[Publications] 渡辺,英治: "神経発生とプロテオグリカン" Connective Tissue. 25. 207-212 (1993)
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[Publications] 大平,敦彦: "脳のプロテオグリカン.特集「糖鎖生物学の進歩と工学的応用」" 繊維学会誌(繊維と工業). 49. 354-359 (1993)
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[Publications] 大平,敦彦: "神経系における細胞外マトリックス" Pure Chemicals“Daiichi". 24. 31-37 (1994)
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[Publications] 大平,敦彦(分担執筆): "脳の形態形成とプロテオグリカン。ブレインサイエンス最前線'94" 講談社サイエンティフィク(ブレインサイエンス振興財団編), 197 (1993)
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[Publications] 大平,敦彦(分担執筆): "プロテオグリカン。タンパク質化学9,脳神経タンパク質接着タンパク質" 共立出版(野村靖幸編)(印刷中), (1994)