1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03454123
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
藤本 守 大阪医科大学, 医学部, 教授 (70084803)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保川 学 大阪医科大学, 医学部, 助手 (70153327)
小寺 邦彦 大阪医科大学, 医学部, 助教授 (00084905)
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Keywords | 細胞内シグナル伝達 / サイクリックAMP / 細胞内Ca / 細胞内pH / 細胞内Na / アンギオテンシンーII / ノルエピネフリン / 腎尿細管細胞 |
Research Abstract |
腎近位尿細管のイオン・水輸送の調節に関して、特にノルエピネフリンやアンギオテンシンーIIは尿細管に直接作用するが、その細胞内シグナル伝達機構は充分には明かではない。今回われわれは、蛙腎近位尿細管細胞によるイオン輸送に対するアンギオテンシンーIIとカテコラミンなどの作用機序を詳細に調べた。方法:食用蛙二重灌流腎を用いて、尿細管周囲側よりアンギオテンシンーII(AGーII,10^<-9>ー10^<-12>M)、ノルエピネフリン(NE,10^<-7>M)、ジブチリルーcAMP(dbーcAMP,10^<-4>M)などを投与したときの細胞内Ca(Ca_i)、Na(Na_i)、pH(pH_i)と管腔内pH(pH_<TF>)の経時的変化を二連イオン微小電極で測定した。また、油滴分割法で管腔内液の再吸収動態を観察した。成績:10^<-11>ー10^<-12>M(低濃度)AGーII投与によって、Na_iの上昇後の低下、管腔液の再吸収率の増加を認めた。さらに、AGーII投与によりpH_iおよびpH_<TF>の低下を認めた。10^<-9>ー10^<-10>M(高濃度)AGーII投与は、著名なCa_i上昇と共に管腔液の再吸収率を抑制した。10^<-7>MのNE投与は、軽度のCa_iの上昇を起こすが、Na_i、pH_i、pH_<TF>および管腔液の再吸収に対し低濃度のAGーII投与時とほぼ同様の変化を示した。さらに、10^<ー12>M AGーIIのpH_<TF>に対する効果はdbーcAMP投与により抑制された。なお、dbーcAMP投与によるNa_i、pH_<TF>、pH_iの変化の詳細は以前に報告した(Fujimoto et al,Jpn J Physiol,40:1988)。結諭:近位尿細管では、低濃度のAGーIIはアデニレ-ト・サイクレ-ス抑制系を介し、主に水・Na再吸収促進、pH_i低下に伴う尿酸性化を促進する。この機構は、細胞内小器管から細胞質へのHの遊離、管腔膜でのNa/H交換機構の促進などである。それに対し、高濃度のAGーIIは著名にCa_iを上昇させ、水・Na再吸収の抑制をする。NE作用は、一部Ca系を介するが、低濃度のAGーIIの作用とほぼ類似効果を示す、また、アデニレ-ト・サイクレ-ス賦活系を介する作用は、水・Na再吸収抑制、尿酸性化の抑制、細胞内酸性小胞へのH取り込み促進、管腔膜でのNa/H交換機構の抑制をもたらす。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Fujimoto M et al: "Ion-selective microelectrodes to study proton and bicarbonate transport in the renal epithelium." Kidney Int. 40 suppl 33. s23-s28 (1991)
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[Publications] 藤本 守他: "内在性腎機能調節と尿細管細胞シグナル伝達機構(第1報)" 第69回日本生理学会大会予稿集. 137 (1992)
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[Publications] Kubota T et al: "Effects of cathecholalmines on ion trasport in the frog kidey." Jpn J Physiol. 41 Suppl. s32 (1991)
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[Publications] 久保川 学他: "腎近位尿細管イオン輸送に対するアンギオテンシンーIIの作用" 日本生理学雑誌(学会抄録). 53. 445 (1991)
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[Publications] Kubokawa M et al: "Acid-induced two-step depolarization in the peritubular membrane of bullfrog kidney proximal tubules" Jpn J Physiol. (1992)
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[Publications] Fujimoto M.et al: "Ionic Basis and Energy Metabolism of Epithelial Transport." ed by Murakami M et al,Kenbun Printing Ltd(Okazaki), 238 (1991)
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[Publications] Ohno-Shosaku T.et al: "Nephrology Vol.II,Proc XIth Inter Congr Nephrol." ed by Hatano M,Springer-Verlag,Tokyo, 1748 (1991)