1991 Fiscal Year Annual Research Report
グリア-ニュ-ロン相互作用による神経系カリウムホメオスタシス維持機構の研究
Project/Area Number |
03454131
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
井上 勲 徳島大学, 酵素科学研究センター, 助教授 (80001973)
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Keywords | イカ巨大神経 / カリウムホメオスタシス / シュワン細胞 |
Research Abstract |
神経興奮はその物理的結果的結果として細胞外にK^+をさせる。浸出したK^+神経細胞と周囲の保持細胞の間の微小間隙に蓄積されK^+濃度を上昇させ、神経膜のK^+平衡電位を変え、次の活動電位に影響を及ぼすことが1957年FrankenhaeuserとHodgkinによってイカ巨大神経を用いて実験的に示された。しかし我々は最近in situあるいは注意深く切り出されたイカ巨大神経においてはK^+蓄積による活動電位劣化は殆んどるい事を示した。しかし保持細胞であるシュワン細胞にわずかな破壊をもたらすとK^+蓄積効果が不可逆的に現れることを見出した。すなわち生理的にはK^+濃度の調節機構が働いており,それは保持細胞の機能であることが明らかになった。我々はイカ巨大神経周囲のシュワン細胞から膜電位を記録した。 シュワン細胞は通常膜電位が浅く-40mv程度である。また細胞内のK^+濃度は約150mMと,神経のそれの1/3 程度であると推察された。神経の反復興奮はシュワン細胞を一過性に過分極することがわかった。これは恐らくK^+のuptakeにより細胞内のK^+濃度が高まったことに由来するものと推測されるが,今のところ詳しい機構については不明である。これはまだシュワン細胞の生理学的特性についてほとんど何も理解できていないことによる。先ずシュワン細胞のイオンチャネル,ポンプ,リセプタ-についての実験デ-タを集めることが先決であると結論された。シュワン細胞の単離はパパイン処理によって可能と思われる が,一本の神経細胞周囲のシュワン細胞の数は限られており、他の組織細胞の単離ほどたやすくはない。しかし本研究を推めるためにはこの技術的解決は避けて通れない。次年度はこの問題解決と、シュワン細胞へのパッチクランプ法適用の確立をめざす。
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[Publications] Inoue,I.: "Resting and active K channels in the squid axon membrane" in Cophalopcd Neurobiology.
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[Publications] Kishimoto,U.,Inoue,I.,Tsutsui,I.,and Ohkawa,T.: "Voltage dependence of the ouatainーSensitive current of the squid axon membrane" in Cephalopod Neurobiology.
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[Publications] Pichon,Y.,Abbott,N,J.,Inoue,I.,Brown,E,R.and Revest P.A.: "Periaxonal K^+ accumulation and regulation in the squid" in Cephalopod Neurobiology.