1992 Fiscal Year Annual Research Report
グリア-ニューロン相互作用による神経系カリウムホメオスタシス維持機構の研究
Project/Area Number |
03454131
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
井上 勲 徳島大学, 酵素科学研究センター, 助教授 (80001973)
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Keywords | グリア細胞 / 神経細胞 / カリウムホメオスタシス / パッチクランプ法 |
Research Abstract |
これまでの研究により神経ーシュワン細胞間微小間隙(F-F space)からのK^+除去には少なくとも3つの機構が働いていることが明らかになった。それらは時定数ミリ秒の速い過程、10ミン秒の少し遅い過程、それに秒単位のゆっくりした過程である。これらの機構はシュワン細胞の機能による。カリウムホメオスタシス維持機構の理解には先ずシュワン細胞独自の機能の把握が不可欠である。平成4年度は本年度はシュワン細胞の生理機能の解明に主眼をおいた。 予想されたことであるが、神経細胞外側を一層の細胞群で囲むシュワン細胞の単離は容易でなかったが、2種類の酵素処理を施すことによりシュワン細胞の単離が可能となった。先ず巨大神経線維を外側からトリプシン処理をし、小神経細胞その他の細胞を取り除き、巨大神経・シュワン細胞のみの標本を作成し、次にコラゲナーゼ処理によってシュワン細胞を単利した。この際、コラゲナーゼの最適ロットを選ぶことが単利の成功にエッセンシャルである。平成4年度においては、シュワン細胞へのパッチクランプ法の適用によっていくつかの基礎データを取ることができた。主な結果は 1)細胞内をCs^+塩溶液で潅流し、カリウム電流を阻害した条件で、膜電位依存性カルウム電流が記録された。この電流成分はCo^<2+>によって阻害されたが、Dihyropyridine誘導体であるNefedipineでは阻害されなかった。したがってL-typeカルシウムチャネルとは異なる。 2)細胞内をK^+-Na^+塩溶液で潅流したとき膜電位依存性外向き整流性電流が記録された。この電流はカリウム電流であるが、細胞外に与えたCo^<2+>によって阻害された。このことからこの電流成分は細胞内に流入した。Ca^<2+>によって活性化されるカリウムチャネルを流れた電流であると結論された。 以上の結果から、神経細胞外側微小間隙のカリウムホメオスタシスはシュワン細胞のカルシウムによって制御されていることが強く示唆された。平成5年度はこの機構を解明する。
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[Publications] Inoue,I.: "Resting and active K channels in the squid axon membrane" Cephalopod Neurobiology. (1993)
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[Publications] Kishimoto,U.: "Voltage dependence of the ouabain-sensitive current of the squid axon membrane" Cephalopcd Neurobiology. (1993)
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[Publications] Pichon,Y.: "Periaxonal K^+ accumulation and regulation in the squid" Cephalopod Neurobiology. (1993)
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[Publications] Stswbe,C.: "Intramembrane charge movement in developing skeletal muscle cells from foetal mice" Pfliigers Aach.421. 572-577 (1992)
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[Publications] Shimahara,T.: "Charge movement and Ca^<2+> release in normal and dysgenic foetal mice" J.Physiol.(Paris). (1993)
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[Publications] 井上 勲: "電気生理学的手法 「蛋白質・核酸・酵素」増刊号 生体超分子システム" 共立出版, (1993)