1991 Fiscal Year Annual Research Report
心筋細胞のクロライドチャンネルの特性とその生理的意義の解明
Project/Area Number |
03454132
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Research Institution | 佐賀医科大学 |
Principal Investigator |
穎原 嗣尚 佐賀医科大学, 医学部, 教授 (50037446)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松浦 博 佐賀医科大学, 医学部, 助手 (60238962)
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Keywords | 心筋 / クロライド電流 / クロライドチャネル / サイクリックAMP / ATP / プリンレセプタ- |
Research Abstract |
1.単一チャネル記録による研究実験 細胞にカテコラミンを作用させてクロライドチャネルを記録することは非常に困難であるが,これはdouble path法により克服できた。すなわちwhole cell 電極からcyclic AMP を細胞に負荷しつつcellーattached の記録を同時に行うことにより、クロライドチャネル記録の成功率を高めることができた。チャネルの開閉キネチックスを解析した結果、このチャネルは電位非依存性であり、キネチックスは比較的単純で単一の開状態と閉状態のみを示すことがわかってきた。さらにcyclic AMPの細胞負荷にともなうチャネル活動出現について詳細に検討すると、チャル活動は始めから高い開確率で出現し、その開確率はその後ほとんど変化しないことが多い。また、記録中時にactiveなチャネルの数が増えることがあるがその場合もチャネル開確率は高い。これらのことから、cyclic AMP系によるタンパク燐酸化はチャネルを利用可能な状態にするのみで、その開閉キネチックスには影響しないことが明らかとなった。 2.whole cell clamp実験による研究実績 心筋のクロライド電流がβレセプタ-ーcyclic AMP系により活性化されることはすでに明らかにしたが、今回の研究により細胞外のATPもこの電流を発生させることがわかった。水解されないATPアナログであるATPーγSも同様の作用を示すので、この反応はプリンレセプタ-を介するものである。このATPの作用は、ATPが交感神経におけるカテコラミンとの共伝達物質であることと考えあわせて興味深い。残されている問題として、作動しているプリンレセプタ-のsubtypeを明らかにすること、反応に関与している細胞内中間物質を決定することなどがあるので、今後この方面の研究にも力を注ぎたい。
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[Publications] Tareen,F.M.: "βーadrenergic and muscarinic regulation of the chloride current in guineaーpig ventricular cells." J.Physiol.440. 225-241 (1991)
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[Publications] Ehara,T.: "Single channel study of cyclic AMPーdependent cardiac chloride current." Proc.Physiol.Soc.(1991)
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[Publications] Matsuura,H.: "Two ionic conductances activated by extracellularly applied ATP in guineaーpig atrial cells." Proc.Physiol.Soc.215 (1991)
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[Publications] Liu,Z.: "Effects of extracellular acidification on the catecholーamineーinduced chloride current in guineaーpig ventricular myocytes." Jpn.J.Physiol.41(Suppl). S307 (1991)
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[Publications] Matsuura,H.: "Activation of chloride current by purinergic stimulation in guinea pig heart cells." Circ.Res.70. (1992)
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[Publications] 松浦 博: "心筋細胞におけるプリン受容体を介して活性化される電流系について" J.Physiol.Soc.Jap.54. 36 (1992)