1992 Fiscal Year Annual Research Report
心筋遅延整流カリウムチャンネルの細胞内制御機構の電気薬理学的研究
Project/Area Number |
03454141
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
飯島 俊彦 秋田大学, 医学部, 教授 (30004724)
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Keywords | 単離心室筋細胞 / 細胞内情報伝達機構 / L型カルシウムイオンチャンネル / 遅延整流カリウムイオンチャンネル / アデニル酸シクラーゼ / フォルスコリン / 血管内皮細胞 / 細胞内カルシウムイオン濃度 |
Research Abstract |
本研究計画の目的は、パッチクランプ法を用いて単離心筋細胞標本の各種イオンチャンネル電流を単離し、L型カルシウムイオンチャンネル電流(I_<Ca・L>)と遅延整流カリウムイオンチャンネル電流(I_K)の細胞内情報伝達機構の差異を検討することにある。β受容体を刺激すると、G蛋白-アデニル酸シクラーゼ-cAMP-イオンチャンネル蛋白のリン酸化と情報が伝達され、I_<Ca・L>とI_Kが増加する。既に我々はβ受容体サブタイプの選択的刺激によるI_<Ca・L>とI_Kの作用に差異のあることを明らかにし、細胞内情報伝達機構が異なっている可能性を示唆してきた。そこで、その差異が受容体にあるのか、あるいはそれ以後の情報伝達経路にあるかを解析するために、非特異的なアデニル酸シクラーゼ刺激薬であるフォルスコリンを用いて、I_<Ca・L>とI_Kの細胞内情報伝達経路について検討を加えた。まずフォルスコリンのアデニル酸シクラーゼ結合部位を明らかにするため、完全電離型フォルスコリン誘導体を合成して検討し、その結合部位が細胞膜内側にあることを明らかにした。次に、フォルスコリンによって非特異的にアデニル酸シクラーゼを活性化すると、I_Kの増加がI_<Ca・L>の増加より著明であり、β受容体を刺激したときの逆になることを明らかにした。このことから、各イオンチャンネルに関連する情報伝達経路が異なっていることが強く示唆された。 本研究補助金によって購入した顕微分光蛍光測定装置を用いて、単離心室筋細胞内カルシウムイオン濃度とI_Kの関連を解析しているが、その予備実験で、ヒト大動脈血管内皮の細胞内へのカルシウムイオン流入がクロライドイオン依存性であることを発見し、その解析を行なっている。
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[Publications] K.Harada and T.Iijima: "Differential modulation by adenylate cyclase of Ca2^+ and delayed K^+ current in ventricular myocytes."
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[Publications] T.Iijima,M.Hosono and N.Taira: "Electropharmacological analysis of the forskolin binding site on adenylate cyclase in single ventricular cells of the guinea-pig heart."
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[Publications] E.Hosoki and T.Iijima: "Chloride-sensitive calcium entry by histamine and ATP in human aortic endothelial cells."