1991 Fiscal Year Annual Research Report
ネフロンにおけるカルシウム輸送の細胞様序とホルモン・薬物による制抑
Project/Area Number |
03454147
|
Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
今井 正 自治医科大学, 医学部, 教授 (40049010)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉富 宏治 自治医科大学, 医学部, 助教授 (60137354)
|
Keywords | カルシウム / PTH / カルシトニン / 遠位曲尿細管 / 接合尿細管 / Ca^<2+> / Na^+交換系 / サイアザイド利尿薬 / アミロライド |
Research Abstract |
1.遠位側ネフロンのCa^<2+>輸送に対するPTH、カルシトニン(CT)の効果を単離尿細管灌流法を用いて検討した。PTHは接合尿細管(CNT)で正味のCa^<2+>輸送を増加させたが、遠位曲尿細管(DCT)及び集合管(CCD)では作用がなかった。これに対し、CTはDCTのみでCa^<2+>輸送を増加させた。これは夫々のホルモンに対するアデニル酸シクラ-ゼ反応のネロフン分布とよく一致しており、実際に膜透過型のcAMPによってDCTとCNTでCa^<2+>輸送が促進されたことから、これらの作用はcAMPを介すると考えられた。これらのホルモンによるCa^<2+>輸送促進作用は基底側のNa^+除去やouabainによって消失したことから、基底側膜にあるCa^<2+>/Na^+交換系が存在することが必須であると考えられた。 2.PTAによるCa^<2+>輸送の促進には基底側のCa^<2+>/Na^+交換系のほかに、管腔側からのCa^<2+>の流入が重要である。我々はPTHにより管腔側の膜電位が二相性に変化することから、管腔側からのカチオンの流入とCa^<2+>の流入が関連があるという仮説を提晶した。一方、サイアザイド系利尿薬、アミロライドなどはCa^<2+>輸送促進作用があることが知られているが、その機序は不明である。そこでトリクロルメチアジド(TCM)とアミロライド(AML)のCa^<2+>輸送に対する作用をPTHとの関連で追求した。TCMによるCa^<2+>輸送促進作用にはPTHの存在が不可欠であった。この作用は基底側のNa^+除去やOuabainにより消失したことからCa^<2+>交換系の存在が必須である。一方、PTHの存在下でNa^+を管腔から除くとCa^<2+>輸送が増加した。管腔からNa^+を除いた条件下にTCMを加えてもCa^<2+>輸送の促進は起らなかったことから、管腔側からのNa^+の流入の抑制により細胞内Na濃度が低下し、Ca^<2+>/Na^+交換系を介してCa^<2+>の正味の輸送が促進、仇ると考えられた。AMLによってもCa^<2+>輸送が促進されたが、更にTCMを加えると付加的にCa^<2+>輸送が促進された。これは両薬剤が異る機序のNa輸送を抑制することを反映している。
|
-
[Publications] Shimizu T,Yoshitomi Y,Nakamura M,Imai M:"Effeects of PTH,calcitonin,and cAMP on calcium transport in rabbit distal nephron segments." Am J Physiol. 259. F408-F414 (1990)
-
[Publications] Shimizu T,Nakamura,Yoshitomi K,Imai M:"Interaction of trichlomethiazide or amilorride with PTH in stimulating Ca^<2+> absorption in rabbit CNT." Am J Physiol. 261. F36-F43 (1991)
-
[Publications] Hanaoka K,Sakai O,Imai M,Yoshitomi K:"Mechanisms of calcium transport across the basolateral membrane of the rabbit cortical thick ascending limb of Henle's loop." Am J Physiol.