1991 Fiscal Year Annual Research Report
平滑筋細胞の分化・脱分化におけるカルデスモン発現変換調節機構の解析
Project/Area Number |
03454151
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
祖父江 憲治 大阪大学, 医学部, 教授 (20112047)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 謙一郎 大阪大学, 医学部, 助手 (90238105)
田中 潤也 大阪大学, 医学部, 助手 (70217040)
乾 誠 大阪大学, 医学部, 助手 (70223237)
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Keywords | hーカルデスモン / lーカルデスモン / cDNA / 平滑筋細胞の分化・脱分化 / ゲノムDNA |
Research Abstract |
カルデスモン(CaD)は、平滑筋及び非筋組織のアクチンーミオシン相互作用をCa^<2+>/カルモデュリン依存性にアクチンフィランメント上で制御している蛋白質である。この蛋白質は高分型(hー型)と低分子型(lー型)に分類でき、平滑筋と非筋組織または細胞においてそれぞれ優先的に発現している。今回、HeLa細胞cDNAライブラリ-からヒト型カルデスモン(CaD)をクロ-ニングし、その構造を明らかにした。HeLa細胞中には分子量の異なる二種類のlーCaD(HeLa lーCaDIとlーCaDII)が発現しており、発現量はlーCaDIIが多い。lーCaDIは558アミノ酸残基からなり、分子量は64000であるが、lーCaDIIはlーCaDIのアミノ酸残基202ー227の間の26アミノ酸が欠失していた。HeLa lーCaDI,IIとニワトリ由来lーCaDの相同性は65ー68%であるが、すでに我々が機能ドメインマッピングにより明らかにしたCa^<2+>/CaM依存性のアクチンーミオシン相互作用制御機能に必要なC末端側の約50アミノ酸からなる領域間での相互性は87%と極めて高いものであった。さらにトロポニンTのT1およびT2ドメインと相同性の高い領域もHeLa lーCaD上に存在していた。このように、CaDの機能ドメインおよび構造上の特徴を示す領域は種を越えて保持されていることが判明した。 イムノブロット法およびRTーPCR法により、種々のヒト腫瘍細胞、正常細胞(肺由来線維茅細胞)、および血小板において分子量の異なる二種類のlーCaDアイソフォ-ムが発現していることを見い出した。いずれの場合も、HeLa細胞の場合と同様II型のlーCaDが優先的に発現している。また、ニワトリ由来のゲノミックDNAライブラリ-からニワトリhーおよびlーCaD cDNAをプロ-ブとしてスクリ-ニングした結果、十数個のCaDゲノムDNAのクロ-ンを単離し、現在、ニワトリのCaDゲノムの構造解析を進行中である。
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[Publications] Ken'ichiro Hayashi: "Structural and functional relationships between hーand lーCaldesmons." Journal of Biological Chemistry. 266. 355-361 (1991)
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[Publications] Kenji Sobue: "Caldesmon,A novel regulatory protein in smooth muscle and nonmuscle actomyosin system." Journal of Biological Chemistry. 266. 12115-12118 (1991)
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[Publications] Ken'ichiro Hayashi: "Isoformal diversity of lーcaldesmons."