1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03454152
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
前田 正知 大阪大学, 産業科学研究所, 助教授 (80190297)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
花田 裕典 大阪大学, 産業科学研究所, 教務職員 (60228509)
田村 茂彦 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (90236753)
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Keywords | 胃壁細胞 / 胃酸分泌酵素 / プロトンポンプ / 転写調節 / 胃酸 / 消化器潰瘍 |
Research Abstract |
胃壁細胞に特異的に発現している胃酸分泌酵素(H^+/K^+ーATPア-ゼ)のβサブユニット遺伝子をクロ-ニングし、その構造を明らかにした。ラットではコ-ド領域は6個のイントロンにより分断されているが、このような遺伝子構造は一次構造のよく似たNa^+/K^+ーATPア-ゼのβ_2サブユニットと一致しており、両ATPア-ゼサブユニットが共通の祖先遺伝子から進化してきたことは明らかである。さにに、細胞特異的な発現をしているH^+/K^+ーATPア-ゼは、転写レベルでその調節がなされていることを示した。このことは、遺伝子上流域に結合する壁細胞特異的な調節蛋白質の存在を示唆している。実際、胃より核内タンパク質を抽出・部分精製する方法を確立するとともに、ゲルシフト法による解析を行うと、αとβ両サブユニット遺伝子の上流域を共通に認識するDNA結合タンパク質を同定することができた。この蛋白質は、胃粘膜にのみ見いだされる。ラットのαサブユニット遺伝子の上流域をクロ-ニングし、既に得ているヒトの配列と比較すると、保存性の高い部分が見つかる。そこに、DNA結合蛋白質の認識配列があることも示した。一方、ヒトの肝臓と胃粘膜のαサブユニット遺伝子の上流域の配列を調べたが、変化していなかった。このことは、遺伝子構造が組織によって変わっているために転写が異なっているという可能性を否定する。以上の結果を得たことは、αとβ両サブユニット遺伝子の発現が共通の調節様式に支配されていることを示したのみならず、壁細胞特異的な遺伝子発現の機構を解析する上で重要な一歩となった。また、壁細胞特異的に発現していることが報告された、ヒスタミン受容体遺伝子のクロ-ニングにも着手した。さらに、ELISA法を開発した結果、無酸症患者の血清中に存在する胃酸分泌酵素に対する抗体価を測定すりことが容易になった。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Masatomo Maeda: "The rat H^+/K^+ーATPase β subunit gene and recognition of its control region by gastric DNA binding protein." The Journal of Biological Chemistry. 266. 21584-21588 (1991)
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[Publications] Koーichi Oshiman: "Control region and gastric specific transcription of the rat H^+,K^+ーATPase α subunit gene." FEBS Letters. 281. 250-254 (1991)
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[Publications] Shunsuke Noguchi: "Assembly of hybrid from the α subunit of Na^+/K^+ーATPase and the β subunit of H^+/K^+ーATPase." Biochemical and Biophysical Research Communications. 182. 659-666 (1992)
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[Publications] Shigehiko Tamura: "Sequence motif in control regions of the H^+/K^+ーATPase α and β subunit genes recognized by gastric specific nuclear protein." FEBS Letters. (1992)
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[Publications] 前田 正知(共著,二井 将光 編): "生体膜工学" 丸善, 54 (1991)