1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03454154
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute for Neuroscience |
Principal Investigator |
黒田 洋一郎 東京都神経科学総合研究所, 神経生化学研究部門, 副参事研究員 (30073084)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 和夫 東京都神経科学総合研究所, 神経生化学研究部門, 主事研究員 (80100139)
市川 真澄 東京都神経科学総合研究所, 解剖発生学研究部門, 主事研究員 (20124414)
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Keywords | シナプス形成 / 大脳皮質 / 海馬 / 培養ニュ-ロン / プロテインキナ-ゼ / ATP |
Research Abstract |
ラット18日胚から取った大脳皮質初代培養細胞を7日間培養したものを用い、培養液を捨てた[γー ^<32>P]ATPを入れた反応液を細胞外に加えた。この時、脱リン酸化反応によるラベリン酸のタ-ンオ-バを防ぐつもりでphosphatase inhibitorのcaly culin Aを加えた。さらにリン酸化反応の阻害効果を見るためにKー2526添加と無添加群を用意した。このような反応液に替えて、2分半、5分、10分のそれぞれの時間、インキュベ-トした後、SDSで反応を止め、タンパクを可溶化、電気泳動を行った。このゲルを乾燥後、イメ-ジングプレ-ト(富士フィルム)に露光し、一晩程度後、イメ-ジングアナライザ-BAS2000により解析をした。これにより、リン酸化されたバンドのパタ-ン及び、各バンドに取り込まれたラベルの絶対量を得、さらに解析を加えた。 ラベルリン酸の取り込みが酵素反応によるものであるかを確認するため、インキュベ-トの温度を37℃と0℃で行った。その結果、リン酸の取り込みはほとんどが温度依存的なものであったので、リン酸化酵素によるものであろうと考えられた。 次に、各バンドにおけるリン酸取り込みのタイムコ-スを解析した。各バンドでこのタイムコ-スをKー2526添加群と無添加群について見たところ、多数のバンドがほぼ2つのグル-プに分けられた。すなわちKー2526の効果が見られたバンドは、添加群でラベルリン酸の取り込みが少なかったのはもちろんであったが、無添加群のリン酸取り込みのタイムコ-スが、初期速度が速く、すぐに飽和するという特徴も示した。また、このようなバンドでも、Kー2526によって完全にリン酸化は阻害されなかった。このような成分は時間に対して、ほぼ直線状にリン酸化量が増えており、一つの可能性として、これは細胞内のリン酸化を見ていることが考えられた。さらにKー2526の阻害効果の濃度依存性について見てみると、Kー2526に対する、感受性の違いから、多数のバンドがほぼ3つのグル-プに分けられた。KI値を<1μM,1μM〜2μM,2μM<で区切ると、Kー2526に高感受性(KI<1μM)に分類されるバンドグル-プは、Kー2526によってシナプス形成が阻害される原因となるリン酸化を受けているタンパクの可能性が高いと考えられた。以上のように、リン酸化の見られた各バンドを、リン酸取り込みの初期速度と、Kー2526に対する感受性の2点について分類した。このうち、初期速度が速く、Kー2526に対する感受性が高いバンドは、エクトプロテインキナ-ゼの基質となっている可能性が高いと考えられる。このような検索の結果、53KDaのバンドが、エクトプロテインキナ-ゼの基質候補と考えられるに至った。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Kuroda,Y.,Ichikawa,M.,Muramoto,K.,Kobayashi,K.,Matsuda,Y.,Ogura,A.,Kudo,Y.: "Block of syn apse formation between cerebal cortical neurons by a protein kinase inhibitor." Neuroscience Letters. 135. 255-258 (1992)
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[Publications] Kuroda.Y.: "Rapid consolidation of assciations between multi-modal memories by intrahippoc ampal connections through cortico-hippocampal closed circuit." Concepts In Neuroscience 2.(1991)
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[Publications] Sekino,Y.,Ito,K-I.,Miyakawa,H.,Kato,H.,Kuroda,Y.: "Adenosine(A_2)antagonist inhibits induction of long-term potentiation of evoked synaptic potentials but not of the population spike in hippocampal CA-1 neurons." Bilchem.Biophys.Res.Comm.,. 181. 1010-1014 (1991)
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[Publications] Kobayashi,K.,Sawada,H.& Hayashi,M.,Ishikawa,M.,Kuroda,Y.,: "Idetiication of a brai n-specific 27/26-kDa extracellular protein with the monoclonal antibody to differentiated PC12 h pheochromocytoma cells." Experimental Cell Research,. 193. 151-154 (1991)
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[Publications] Ichikawa,m.,Kimura-Kuroda,J.,Yasui,K.& Kuroda,Y.: "Expression of synaptophysin during synapse formation bwtween dissociated cortical neurons." Neuroscience Research. 12. 452-458 (1991)
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[Publications] Kuroda,Y.: "Activity-dependent release of ATP and adenosine derivatives can trigger molecular caseades for the memory process in human brain.Role of adenosine and adenine nucleotides in the biological system.S.Imai & M.Nakazawa,eds.," Chapter 55,605-615,Elsevier Science Publishers BV.(1991)
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[Publications] 黒田 洋一郎: "脳の機能と遺伝子『脳と遺伝子』" 平凡社215ー224, (1991)
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[Publications] 黒田 洋一郎(伊藤 正男編): "記憶・思考の物質過程ー記憶における“くりかえし"の重要性ー『脳と思考』" 紀ノ国屋書店PP193ー194, (1991)