1992 Fiscal Year Annual Research Report
プロテインキナーゼCのダウンレギュレーションの機構と情報伝達における意義の解析
Project/Area Number |
03454155
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 紘一 東京大学, 応用微生物研究所, 教授 (80011948)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨岡 茂雄 東京大学, 応用微生物研究所, 教務職員 (90159046)
西道 隆臣 東京都臨床医学総合研究所, 遺伝情報, 研究員 (80205690)
石浦 章一 東京大学, 応用微生物研究所, 助教授 (10158743)
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Keywords | プロテインキナーゼC / カルパイン / カルシウム / 情報伝達 |
Research Abstract |
プロテインキナーゼC(PKC)の新しい分子種を検索し、これまでに10種類のPKC分子種を見出した。これらはいわゆるPKC、cPKCとカルシウム非依存性の新しいnPKC、およびカルシウムとホルボールエステルに非依存性の非典型的aPKCの3種類に分類できた。カルパインはcPKCをダウンレギュレートするが、nPKC、aPKCについては不明なので、これらのPKCがカルパインでダウンレギュレートされるか否かを検討した。ウサギ脳のnPKCεはμおよびmカルパインによって切断され、分子量4、5万のキナーゼドメインが生じた。このキナーゼドメインは補助因子の非存在下で活性を発現した。nPKCがカルパインの良い基質になることは、カルパインによるPKCのダウンレギュレーションが生理的にも重要であることを示している。事実、脳下垂体のGH細胞を脳下垂体ホルモン放出ホルモンで刺激するとプロラクチンの分泌が見られるが、この時にはnPKCεが特異的にダウンレギュレーションされる。ダウンレギュレーションはPKCの膜への移行と活性化を示す指標であり、nPKCεが生理的な情報伝達、すなわち、プロラクチンの放出反応に関与することがはじめて示された。現在、nPKCεのダウンレギュレーションが、情報発現の結果なのか原因なのか、また、結果であってもプロラクチン分泌に必須なのか否かについて、カルパインの活性をおさえるネオマイシンやアンチセンスRNAの添加効果をもとに検討を加えている。 カルパインは転写因子のダウンレギュレーションをも行うなど、細胞内の種々の重要なタンパク質の代謝の引金を引く酵素である。PKCやこれらの酵素やタンパク質の相互作用についても検討している。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Saido,T.C.,Mizuno,K.,Konno,Y.,Osada,S.,Ohno,S.& Suzuki,K.: "Purification and characterization of protein kinase C ε(nPKC) from rabbit brain." Biochemistry. 31. 482-490 (1992)
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[Publications] Saido,T.C.,Nagao,S.,Shiramine,M.,Tsukaguchi,M.,Sorimachi,H.,Murofushi,H.,Tsuchiya,T.,Ito,H.& Suzuki,K.: "Autolytic transition of μ-calpain upon activation as resolved by antibodies distinguishing between the pre- and post-autolysis forms." J.Biochim.111. 81-86 (1992)
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[Publications] Hata,A.,Ohno,S.& Suzuki,K.: "Transcriptional activation of the genes for the large subunit of human m-calpain by 12-o-tetradecanoyl-phorbol-13-acetate." FEBS Letters. 304. 241-244 (1992)
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[Publications] Osada,S.,Mizuno,K.,Saido,T.C.,Suzuki,K.,Kuroki,T.& Ohno,S.: "A new member of the protein kinase C family, nPKCθ predominantly edpression of a novel protein kinase C gene." Dev.Brain Res.54. 3930-3938 (1992)
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[Publications] Saido,T.C.,Shibata,M.,Takenawa,T.,Murofushi,H.& Suzuki,K.: "Positive regulation of μ-calpain action by phosphoinositides." J.Biol.Chem.267. 24585-24590 (1992)
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[Publications] Sorimachi,H.& Suzuki,K.: "Sequence comparison among muscle specific calpain, p94, and calpain subunits." Biochim.Biophys.Acta. 1160. 55-62 (1992)