1991 Fiscal Year Annual Research Report
細胞質蛋白質チロシン残基燐酸化酵素の活性化機序とその生理的基質の解析
Project/Area Number |
03454158
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Research Institution | 福井医科大学 |
Principal Investigator |
山村 博平 福井医科大学, 医学部, 教授 (90030882)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 俊一 福井医科大学, 医学部, 助手 (40155833)
谷口 隆信 福井医科大学, 医学部, 助手 (60217130)
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Keywords | 蛋白質チロシン残基燐酸化酵素 / 細胞質チロシンキナ-ゼ / 蛋白質分解酵素 / 40Kチロシンキナ-ゼ / p72syk / 自己燐酸化 / ミエリン塩基性蛋白質 |
Research Abstract |
細胞質蛋白質チロシン残基燐酸化酵素の活性化機序とその生理的基質の解析に関して計画年度内では以下の点について明らかにした。豚脾臓の細胞質画分より完全精製に成功した40Kチロシンキナ-ゼは72Kの非受容体型のチロシンキナ-ゼの分解産物であることが明かになった。この結果は当初考えていた細胞質チロシンキナ-ゼは脾臓細胞では存在していないのかもしれない。しかしこの72K蛋白が非常に蛋白質分解酵素によって切れやすくかなりのプロテア-ゼインヒビタ-を加えてもその作用を阻止出来ないことが明かとなったのは大きな収穫であった。ただこのような分解酵素による40K蛋白の産生、72K蛋白の機能を調ベる上により考えやすくなった。このことは細胞質に存在する40Kチロシンキナ-ゼは細胞膜に存在する72K蛋白の代謝産物である可能性が示唆された。そこでこの1次構造の1部より110塩基対のcDNA断片を得、これをプロ-ブとして全長2575塩基対で628個のアミノ酸よりなる蛋白をコ-ドするクロ-ンを得ることが出来た。アミノ酸配列から細胞膜貫通領域を持たないことが判明した。さらにこのキナ-ゼには糖鎖が含まれていないことも明かとなった。分子量約72,000であり脾臓のチロシンキナ-ゼにちなんでp72sykと名づけた。このようにしてp72sykを見いだしたが、このキナ-ゼは脾臓細胞において小麦胚芽凝集素などの添加によって自己燐酸化が促進する。さらにSH2領域を持つことからチロシン燐酸と深い関わりあいがあることが考えられる。これらの結果はp72sykが細胞内情報伝達の一翼を担っている可能性を示唆しているものと思われる。またp72sykの生理的基質の検索を行うため、この酵素の良い基質の1つであるミエリン塩基性蛋白質の燐酸化部位を検索した。ミエリン塩基性蛋白質の5ケ所のチロシン残基のうち3ケ所が燐酸化されることが明かとなったが、特別なアミノ酸配列は見当たらなかった。他のチロシンキナ-ゼとは異なりチロシン残基のN末側のグメタミン酸の存在はp72sykの基質認識に関係ないようであり、蛋白質の1次構造のほか高次構造も基質認識に関係していると思われる。
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Research Products
(13 results)
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[Publications] Eikichi Hashimoto: "Studies on protein kinase C tightlyーbound to rat liver plasma membrane and its proteaseーactivated form." Int.J.Biochem.23(4). 395-403 (1991)
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[Publications] Eikichi Hashimoto: "Proteaseーactivated protein kinase C in rat liver." Int.J.Biochem.23(5,6). 507-512 (1991)
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[Publications] Reiko Shimomura: "Possible endogenous substrate proteins for cytosolic proteinーtyrosine kinase from porcine spleen." Int.J.Biochem.23(7,8). 727-731 (1991)
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[Publications] Hiroshi Takayama: "Ionophore A23187ーinduced proteinーtyrosine phosphorylation of human platelets:Possible synergism between Ca^<2+> mobilization and protein kinase C activation." Biochem.Biophys.Res.Commun.174(2). 992-997 (1991)
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[Publications] Tetsuya Inazu: "The lectin wheat germ agglutinin induces rapid proteinーtyrosine phosphorylation in human platelets." Biochem.Biophys.Res.Commun.174(3). 1154-1158 (1991)
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[Publications] Takanobu Taniguchi: "Molecular cloning of a porcine gene syk that encodes a 72ーkDa proteinーtyrosine kinase showing high susceptibility to proteolysis." J.Biol.chem.266(24). 15790-15796 (1991)
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[Publications] Takechiyo Yamada: "The lectin wheat germ agglutinin stimulates a proteinーtyrosine kinase activity of p72^<syk> in porcine splenocytes." Biochem.Biophys.Res.Commun.180(3). 1325-1329 (1991)
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[Publications] Keiko Sakai: "Identification of the phosphorylation sites of H2B histone by a catalytic fragment of p72^<syk> from porcine spleen." FEBS Letters. 294(1,2). 104-108 (1991)
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[Publications] Fumito Takeuchi: "Phosphorylation of Histone H2A by protein kinase C and Identification of the Phosphorylation Site." J.Biochem.
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[Publications] 山村 博平: "病理学キ-ワ-ド" 文光堂, 1 (1991)
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[Publications] 山村 博平: "病理学キ-ワ-ド" 文光堂, 1 (1991)
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[Publications] 稲津 哲也: "代謝" 中山書店, 5 (1991)
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[Publications] 谷口 隆信: "注目の臨床実験検査法" 中山書店, 9 (1991)