1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03454169
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
福本 学 京都大学, 医学部, 助教授 (60156809)
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Keywords | 発癌 / 遺伝子増幅 / ヒト癌 / サザーンハイブリダイゼーション / In-situハイブリダイゼーション / ゲル内再会合法 / ノーザンハイブリダイゼーション / RT-PCR |
Research Abstract |
1.ヒト肺大細胞癌由来で、c-myc,K-ras遺伝子の同時増幅を有する細胞株である、Lu65とKHC287において染色体のin-situハイブリダイゼーションを行ったところ、Lu65においては染色体12q+に両者の増幅単位がみられた(報告済み)。KHC287では増幅c-mycが染色体の11pとマーカー染色体に各1ローカスずつ、K-rasが10q、11qとマーカ一染色体の3箇所にみられた。11染色体は各々異なる染色体であったが、マーカー染色体は同一染色体であった。両遺伝子の物理的な距離を知るために、パルスフィールド電気泳動を行った。その結果、両方の増幅遺伝子間の距離は250kbpから1Mbpの間の近さにはなかった。両遺伝子の機能的関係をみるために、KHC287にアンチセンスc-mycの発現するベクターを導入し、c-mycの発現を抑制して、RT-PCR法によってK-rasの発現を検討した。直線性の保たれている35サイクルで発現を検討したところ、c-mycの発現の影響はみられなかった。以上から、遺伝子増幅は、増幅遺伝子の種類によらず、共通の機構によって起こること、複数の増幅遺伝子が同時にみられても、それらの遺伝子が必ずしも、機能的、あるいは距離的に密接な関係があるとは限らないことが明らかとなった。 2.食道癌細胞株において染色体11q13に相当するbcl-1(PRAD1,cyclinD)遺伝子の増幅があるにも拘らず、bcl-1の発現がノーザンハイブリダイゼーションで全く捉えられないものがあった。増幅していて、発現の亢進している未知の遺伝子を検出するためのコントロール実験として、bcl-1遺伝子の増幅と発現亢進の両者がみられる細胞株について、RT-PCR法によるcDNAライブラリー(PCR-cDNA)を作製し、サザンハイブリダイゼーションを行った。しかし、bcl-1に相当するバンドは明確に確認できる程ではなかった。PCR-cDNAのPCRによる増幅に際して、重要だが、増幅されないメーセージがあるためと考えられ、現在、手技の改良を検討中である。
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[Publications] Tashiro,H.: "c-myc Over-expression in Human Primary Ovarian Tumours : Its Relevance to Tumor Progrossion" Int. J. Cancer. 50. 828-833 (1992)
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[Publications] Suzuki,A.: "IL-1 Production as a rogulator of G-CSF and 1L-6 Production in CSF Producing Cell Lines" Br.J.Cancer. 65. 515-518 (1992)
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[Publications] Takahashi,J.A.: "Correlation of Basic F:broblast Growth Factor Expression Levels with the Degree of Maligrcncy and Vasculavity in Human Glivmas" J. Neurosurg.76. 792-798 (1992)
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[Publications] Fukumoto,M.: "Chromosomal Location and structure of Amplicons in Two Human Cell Lines with Coamplification of c-myc and ki-ras Oncogenes" Somat. Cell. Molecul. Genet.19. 21-28 (1993)
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[Publications] 福本 学: "分子病理学、腫瘍における遺伝子増幅と腫瘍の悪性" 文光堂、杉山 武敏 編, (1993)