1991 Fiscal Year Annual Research Report
腸管寄生線虫モデルにおけるサイトカインの免疫調節メカニズム
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03454178
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
多田 功 九州大学, 医学部, 教授 (60064531)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
是永 正敬 熊本大学, 医学部, 助手 (00128274)
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Keywords | 腸管寄生虫 / 感染防御 / ILー5 / 好酸球 / 抗ILー5モノクロ-ナル抗体 / 施毛虫 |
Research Abstract |
ポリクロ-ナル抗好酸球抗体を用いた実験から施毛虫感染防御に好酸球の関与が示唆され、in vitro実験でも好酸球の殺寄生虫作用が示されている。しかしながらin vivoで追試に成功した報告はない。今回、私達はリコンビナント(r)ILー5投与により好酸球増多を誘導したり、あるいは逆に抗ILー5モノクロ-ナル抗体処理したマウスに施毛虫を感染させ、ILー5および好酸球の防御反応に占める役割を検討した。 マウスはNFS、BIOBR/NFS、FI、C3H/He、及びddyを用いた。rILー5はマウスILー5cDNAをトランスフェクトしたNeLa細胞の培養上清、抗ILー5はNC17をヌ-ドマウス腹腔に移植し、腹水から精製した。 施毛虫感染後経時的に採取した血清と感染15日目の腹腔浸出細胞を新生幼虫とともに培養し細胞接着の状況を観察した結果、21日目血清が有効であることがわかった。次に2万単位のrILー5を1〜3回、2日間隔で腹腔に投与し、末梢血好酸球の変動をみた。投与回数にかかわらず6日目をピ-クとする増多が起こった。そこでrILー5を1回投与後5日目に0.2mlの感染血清を静注し、その翌日5300または20000隻の新生幼虫を尾静脈より攻撃感染した。感染22日後、筋肉幼虫数を調べたが、実験群と対照群との間に差はなかった。筋肉幼虫を経口感染後、経時的に末梢血を調べると20日目ピ-クに好酸球増多がみられた。感染マウスを抗ILー5モノクロ-ナル抗体(MAb)処理すると好酸球増多は抑制された。抗ILー5MA6処理群と未処理群との間に、筋肉内幼虫数に有意の差はなかった。次に初感染後21日目に抗ILー5MAb処理し、その1週間後に筋肉幼虫を再感染させた。再感染後1日目、7日目に小腸の虫体数をみたが差はなかった。また25日目の筋肉内幼虫数にはなく、本寄生虫のマウス感染ではILー5/好酸球は防御機構に関与しないか、またはその度合は低いものと考えられた。
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