1991 Fiscal Year Annual Research Report
単離したサイトメガロウイルス複製開始DNA断片を用いたウイルスDNA複製機構解析
Project/Area Number |
03454186
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山口 宣生 東京大学, 医科学研究所, 教授 (90012723)
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Keywords | サイトメガロウイルス / 潜伏感染 / ウイルスDNA複製 / マイクロインジェクション / PCR |
Research Abstract |
ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)は潜伏感染し、免疫の低下状態において重篤な日和見感染症の原因となることが多い。我々はHCMVーDNAの複製機構解析をとおして、潜伏感染からの再活性化機構を分子レベルで明らかにすべく、240キロベ-スの巨大なウイルスDNA上の複製開始点を含む断片を同定することから研究を出発させた。HCMVに感受性のヒト胎児肺細胞(HEL)のトランスフェクション効率が非常に低かったので、顕微鏡下でウイルスDNA断片を含むプラスミドDNAをマイクロインジェクトし、その後ウイルスを感染し、ウイルスDNAが増殖する環境下でプラスミドDNAの複製の有無を解析した。動物細胞では特定の塩基がメチル化されないことを利用して、メチル化の違いを認識しうる制限酵素とPCR(polymerase chain reaction)を組み合わせてウイルスDNAのHindIII断片の複製の有無を検討した結果、A断片上に複製開始点が存在することを明らかにした。また複製したA断片を含むプラスミドは巨大な分子となっており、rolling circle型のDNA複製が行われたことが示唆された。さらにA断片につき、ウイルス感染なしに、HindIII各断片を含むプラスミドの混合物をマイクロインジェクトする条件下でも複製することを明らかにし、この方法でDNA複製に必要なウイルス遺伝子の同定が可能なことを示した。 またG断片を含むプラスミドがA断片よりは複製効率が悪いものの、他の断片よりは有意に複製効率が良いことを明らかにした。我々の検出法ではウイルスDNAあるいは細胞DNAとの組換え分子も複製DNAとして認識されるので、G断片についてはウイルスDNAとの相同組換えの可能性を検討している。
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