1992 Fiscal Year Annual Research Report
SSPEウイルスへの変異過程にあると考えられる麻疹ウイルス新鮮分離株の解析
Project/Area Number |
03454188
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
本間 守男 神戸大学, 医学部, 教授 (10004566)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 正恵 神戸大学, 医学部, 助手 (10201328)
片山 友子 神戸大学, 医学部, 助手 (10224461)
堀田 博 神戸大学, 医学部, 助教授 (40116249)
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Keywords | 麻疹ウイルス / 新鮮分離株 / 変異株 / SSPEウイルス / M蛋白質 / 遺伝子 / H蛋白質 / 遺伝子 / マウス神経病原性 / 遊離ウイルス産生能 |
Research Abstract |
1.麻疹ウイルス新鮮分離株について解析し、以下の成績を得た。(1)新鮮分離株はH蛋白質の電気泳動上の移動度により1型(82kDa)と2型(84kDa)に分類され、それらはいずれもエドモンストン(Ed)株(80kDa)とは明らかに異なっていた。(2)新鮮分離株のH遺伝子をEd株と比較すると、1型で16ヵ所、2型で18ヵ所非同義置換がみられ、これに伴なって新鮮分離株ではいずれの型でも糖鎖付加部位がEd株より1ヵ所増加していた。(3)上記新鮮分離株のM蛋白質は1型及び2型とも36kDaに泳動され、Ed株(34kDa)の場合とは異なっていた。M遺伝子については、1型と2型の間では非同義置換はみられなかったが、Ed株と比較すると3ヵ所の非同義置換が認められた。(4)以上の成績より現在流行中の麻疹ウイルスは2つの型に分類され、それらはいずれもEd株とは明らかに異なっていることが示唆された。 2.SSPEウイルス類似変異株について解析し以下の知見を得た。(1)B95-8細胞で分離した新鮮分離株に、ごく少数ではあるが、Vero細胞にプラックを形成する変異株(Ve株)が含まれていた。これらのVe株はマウス神経病原性を有し、かつ細胞外遊離ウイルス産生能が低いというSSPEウイルス類似の性状を示すことがわかった。(2)上記のSSPEウイルス類似変異株の塩基配列を親株である新鮮分離株と比較すると、F遺伝子、H遺伝子には置換がみられず、M遺伝子に1ヵ所のみ非同義置換がみられた。(3)以上の成績より、麻疹ウイルス野生株にはごく少数ながらSSPEウイルスに類似した変異株がすでに存在している可能性が考えられた。この変異がいかなるウイルス遺伝子の変異に基づいているかについては、今後の重要な検討課題であると考えられる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Morimasa Maru: "Evaluation of protease activation mutant of Sendai virus as a potent live vaccine" Veterinary Microbiology. 30. 1-12 (1992)
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[Publications] Masae Itoh: "Mutation of the HANA protein of Sendai virus by passage in eggs" Virology. 190. 356-364 (1992)
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[Publications] Hak Hotta: "Augmentation of protective immune responses against Sendai virus infection by fungal polysaccharide schizophyllan" Int.J.Immunopharmac.15. 55-60 (1993)