1993 Fiscal Year Annual Research Report
環境中のアミノカルボリン化合物の特異的細胞毒性とその予防医学的応用に関する研究
Project/Area Number |
03454201
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
和田 攻 東京大学, 医学部(医), 教授 (60009933)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳沢 裕之 東京大学, 医学部(医), 助手 (10200536)
長橋 捷 東京大学, 医学部(医), 助手 (90009994)
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Keywords | アミノ-γ-カルボリン / リンパ球 / 発癌 |
Research Abstract |
アミノ-γ-カルボリン類(Trp-P-1・Trp-P-2)は、食品・大気・雨水など環境中に広く分布する発癌性複素環状アミン類である。また、タバコ煙・ディーゼルエンジン排ガス中にも検出され、燃焼過程での生成も示唆されている。他方、アミノ-γ-カルボリン類は、多種の細胞に細胞毒性を引き起こすことが明らかにされつつあり、ヒト健康への影響に対する評価を行うことも重要でもある。故に、本研究では、アミノ-γ-カルボリン類のヒトリンパ球への細胞毒性とヒト発癌の機序に関する研究を行った。 1、アミノ-γ-カルボリン類のヒトリンパ球への細胞毒性:Trp-P-1及びTrp-P-2は、1-10μMの濃度でPHAによるヒトリンパ球芽球化反応を著明に抑制した。そのIC_<50>(50%の芽球化抑制を引き起こす濃度)は、それぞれ3.1μM及び5.1μMであった。他の複素環状アミン類(IQ、Glu-P-1,Glu-P-2)は、PHAによるヒトリンパ球芽球化反応に影響を及ぼさなかった。ヒトリンパ球芽球化反応の機序は、未だ十分に解明されていないため、Trp-P-1及びTrp-P-2のその抑制効果に対する機序を明らかに出来なかったが、環境中の発癌物質が免疫に関与するリンパ球に毒性効果を引き起こすことは、非常に興味深い。 2、発癌の機序に関する研究:アミノ-γ-カルボリン類は、DNAに結合する結果、細胞に突然変異を引き起こし癌化を誘導することが推定されている。故に、ヒト細胞により抽出したDNA中にアミノ-γ-カルボリン類が結合しているかどうか検討するために、アミノ-γ-カルボリン類に対する特異的なモノクロナール抗体の作製を試みたが、免疫原性が非常に低いため抗体作製までは至らなかった。
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[Publications] 和田 攻: "環境発癌物質アミノ-γ-カルボリンの血管平滑筋細胞収縮作用について" 日本衛生学会誌. 46. 182 (1991)
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[Publications] 和田 攻: "Urinary excretion levels of carcinogenic glutamir and pyrolyis products and their N-acetyl derivatives in humans" Japanese Journal of Hygiene. 46. 922-929 (1991)
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[Publications] 柳沢裕之: "clnhibitory effects of car cinojenic tryptoplan pyrolyrs products on phytohemagylutinin-induced blast formation of human lymphoiytes." Toxicology detters. 51. 227-231 (1991)