1991 Fiscal Year Annual Research Report
職場における肝機能異常者の成因に関する疫学的研究ーC型肝炎ウィルスの関与を中心に
Project/Area Number |
03454212
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
岡崎 勲 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (00051649)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊津野 孝 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20213019)
吉田 勝美 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (80158435)
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Keywords | 職場の健康管理 / C型肝炎ウィルス / 肝機能検査 / HBVキャリア- / HCVキャリア- / アルコ-ル性肝障害 |
Research Abstract |
京浜地区の3つの事業所について、悉皆的に40歳以上の従業員について定期健康診断の際に肝機能検査が施行された。肝機能検査で異常がみられた者については肝炎ウィルス・マ-カ-の検索を行った。A社は某工レクトロニクス製造会社で、12%に肝機能異常者がみられた。これら肝機能検査異常をきたした成因として、B型肝炎ウィルスによる慢性肝障害6.5%、C型肝炎ウィルスによる慢性肝障害10.6%、アルコ-ル性肝障害18.7%、肥満30.1%であり、さらに中等度飲酒によるもの17.1%、中等度肥満5.7%、中等度飲酒と中等度肥満によるものが11.4%みられた。肝炎ウィルス・マ-カ-陽性の肝機能検査異常者は17%で、その他は肥満と飲酒によると推測された。B社は、某都市銀行で、今回対象としたのは退職時検診者である。その理由は、C型肝炎ウィルスキャリア-は、60歳代以上に多く、若い年齢層に少ないことからである。また、肝機能検査異常者も40歳代後半から多くなることが知られており、肝機能検査異常者について肝機能検査異常をきたした成因を知るためには50歳代の退職時検診者の方がよいためである。対象は243名であり、そのうち肝機能検査異常を示したのは50名(20.6名)であった。このうち、B型肝炎ウィルス関連抗原陽性者は1名もみられなかった。(243名中1名に陽性がみられたが、肝機能検査は正常であった)。肝機能検査異常者50名についてC型肝炎ウィルス抗体を検索したところ、8名が陽性であった。これら8名は過去に輸血、手術、その他何らかの注射など医療を受けているものであった。この8名を除く42名のうち、肝線維化マ-カ-が高値を示したものは僅か2名、僅かに高いのが4名であった。A事業所同様に、飲酒と肥満によるものが多かった。C事業所は、某マスコミで、肝機能異常者が従業員の30%にもみられ、現在その疫学的調査を実施中である。
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[Publications] 岡崎 勲: "某事業所における肝機能異常者のC型肝炎汚染度" 第64回日本産業衛生学会講演集. 135 (1991)
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[Publications] 岡崎 勲: "アルコ-ルと肝線維化" 医学のあゆみ. 154. 921-925 (1991)
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[Publications] 岡崎 勲: "肝線維化マ-カ-:血清PIIIP" Gastro. 1. 105-112 (1991)
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[Publications] 岡崎 勲: "職場におけるアルコ-ル依存症" 香川県醫師会誌. 44. 32-36 (1991)
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[Publications] 岡崎 勲: "ウィルス性肝炎の最近の動向" 埼玉県醫師会誌. (1992)
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[Publications] 岡崎 勲: "職場における肝機能異常者の成因に関する疫学的研究" 日本公衆衛生雑誌. 39. (1992)
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[Publications] 岡崎 勲: "これからの健康管理ーがん、心臓病、肝臓病、糠尿病、ストレスの一次予防を中心にー 第2刷" 日本醫事新報社, 181 (1991)
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[Publications] 岡崎 勲: "Annual Review 消化器 1991(分担)" 中外医学社, 143-150 (1991)